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「2030年電子カルテ義務化」は本当なのか?

  • 執筆者の写真: Yuki
    Yuki
  • 7月22日
  • 読了時間: 7分


厚労相会見から読み解く、医療機関が今取るべき現実的な対応


「2030年までに電子カルテを導入しなければならない。」

そんな話を耳にして、不安を感じている院長先生や事務長の方も多いのではないでしょうか。

実際、365メディカルにも

  • 「紙カルテのままだと診療できなくなるのですか?」

  • 「電子カルテを今すぐ入れ替える必要がありますか?」

  • 「標準型電子カルテに対応しないと施設基準へ影響しますか?」

といったお問い合わせが増えています。

令和8年度診療報酬改定や医療DXの推進が続く中、「2030年電子カルテ100%」という言葉だけが一人歩きし、「義務化」という印象を持たれている医療機関が少なくありません。

しかし、2026年7月21日の厚生労働大臣記者会見では、この点について重要な説明が行われました。

今回は、その内容を踏まえながら、中小病院やクリニックの経営者・事務長が本当に理解しておくべきポイントを整理します。


「2030年電子カルテ100%」は医療機関への義務ではない

まず結論からお伝えします。

現時点で、医療機関に電子カルテ導入を義務付ける法律はありません。

2026年7月21日の記者会見で、上野厚生労働大臣は次の趣旨を明確に説明しました。

地域医療介護総合確保法に盛り込まれた電子カルテ普及目標の達成義務は政府に課されたものであり、医療機関へ電子カルテ導入を義務付けるものではない。

つまり、

「2030年までに普及率100%を目指す」という目標は、政府の政策目標であり、個々の医療機関への法的義務ではありません。


なぜ「義務化」という誤解が広がったのか

では、なぜここまで誤解が広がったのでしょうか。

背景には、近年の医療DX施策があります。

例えば、

  • オンライン資格確認

  • マイナ保険証対応

  • 電子処方箋

  • 電子カルテ情報共有サービス

など、制度対応が段階的に進められてきました。

その結果、

「また義務になるのでは」

という心理が現場に生まれています。

さらに、

「2030年までに100%」

という数字だけが報道されることで、

“100%=全員義務”

という印象を持ってしまった医療機関も少なくありません。

しかし、今回の厚労相会見では、その解釈が修正されたと言えます。


「標準型電子カルテ」は今の電子カルテを捨てる制度ではない

もう一つ誤解されやすいのが、

標準型電子カルテ

です。

「今使っている電子カルテが使えなくなる」

「また数千万円かけて更新しなければならない」

という相談もあります。

しかし、これも事実とは異なります。

標準仕様はベンダー向け

厚生労働省は今年3月に電子カルテ標準仕様を公表しています。

しかし、この標準仕様は、

電子カルテベンダー向けの技術仕様

として示されたものです。

医療機関に対して

  • システム更新

  • システム改修

  • 買い替え

を義務付けるものではありません。

上野厚労相も会見で、

現在利用している電子カルテを継続して使用することは可能

と説明しています。

つまり、

今使っている電子カルテが直ちに使えなくなることはありません。


標準型電子カルテは小規模医療機関向けの選択肢

標準型電子カルテは、

「全国統一の電子カルテ」

ではありません。

むしろ、

電子カルテ未導入施設でも利用しやすい、

比較的シンプルな仕組みとして整備が進められています。

その目的は、

  • 医療情報共有

  • 必要最低限のデータ連携

を実現することです。

そのため、

小規模クリニックや診療所にとっては

「高機能電子カルテの代替」

というより、

電子カルテ導入への入り口

として位置付けられています。


本当に重要なのは「導入するか」ではなく「活用できるか」

ここで考えたいのは、

電子カルテを導入すること自体が目的ではない

という点です。

電子カルテは、

導入しただけでは業務改善になりません。

実際には、

  • 院内業務

  • 文書管理

  • 情報共有

  • 施設基準管理

  • 医療DX対応

まで含めて運用できて初めて価値があります。

電子カルテだけ最新でも、

  • 施設基準が管理できない

  • WEB掲示が更新できない

  • 証憑管理が紙

  • 届出資料がバラバラ

という状態では、

業務効率は思ったほど改善しません。


電子カルテだけでは医療DXは完成しない

近年の制度改正を見ると、

電子カルテ以外にも管理すべき事項が増えています。

例えば、

  • WEB掲載義務

  • 施設基準管理

  • 研修記録

  • 実績集計

  • 医療DX関連届出

  • セキュリティ対策

  • 医療情報システム安全管理

  • 電子処方箋対応

  • 電子カルテ情報共有サービス

これらは電子カルテ単体では管理できません。

つまり、

今後重要になるのは

電子カルテ+制度対応

という考え方です。


今、医療機関が取るべき現実的な対応

今回の会見を踏まえると、

医療機関としては慌てて高額なシステム更新を行う必要はありません。

むしろ、

次のような視点で現状を整理することが重要です。

① 現在利用している電子カルテのサポート状況を確認する

ベンダーが標準仕様への対応を予定しているか確認しましょう。

② 院内で管理すべき制度を整理する

電子カルテだけでなく、

  • 施設基準

  • WEB掲示

  • 証憑

  • 医療DX

などを一覧化しておくことが重要です。

③ 更新時期と投資計画を考える

制度変更だけを理由に更新を急ぐ必要はありません。

減価償却や保守契約も踏まえ、

適切なタイミングで投資判断を行うことが重要です。

④ 電子カルテ以外のDXも同時に進める

電子カルテだけでは制度対応は完結しません。

医療DX全体を見据えた運用を考える必要があります。


365メディカルが考える医療DX

365メディカルでは、

電子カルテそのものを販売するのではなく、

医療機関が制度対応を無理なく継続できる仕組みづくりを支援しています。

近年は、

電子カルテ導入以上に、

  • 医療DXへの対応

  • WEB掲載義務

  • 施設基準管理

  • 証憑管理

  • 医療情報システム安全管理

  • 届出・更新管理

など、「電子カルテの周辺業務」が経営上の大きな課題になっています。

制度は今後も変わり続けます。

そのたびに個別対応を繰り返すのではなく、院内全体で制度対応を見える化し、継続的に管理できる体制づくりが重要です。

365メディカルでは、制度改正や医療DXへの対応を見据えた運用支援や、施設基準・WEB掲載・証憑管理などを含めたご相談を承っています。

「電子カルテを導入すべきか」ではなく、

「自院にとって最適な医療DXの進め方は何か」

という視点から、一緒に整理してみませんか。


まとめ

2026年7月21日の厚生労働大臣会見で明らかになったことは、大きく3つです。

  • 2030年電子カルテ100%は政府の目標であり、医療機関への法的義務ではない。

  • 現在利用している電子カルテを直ちに更新する必要はない。

  • 標準型電子カルテは医療機関への強制ではなく、情報共有を進めるための選択肢として位置付けられている。

だからといって、医療DXへの対応を先送りしてよいという意味ではありません。

電子カルテを含めた情報基盤、制度対応、施設基準管理、WEB掲載、セキュリティ対策などを総合的に見直し、自院に合った計画を立てることが、これからの医療機関経営には欠かせません。

365メディカルは、その計画づくりから運用までを支援するパートナーとして、医療機関の皆さまと伴走していきます。


引用・参考

  • 厚生労働省 2026年7月21日 厚生労働大臣記者会見(電子カルテ普及目標に関する質疑)

  • 地域医療介護総合確保法

  • 医療法等の一部を改正する法律(令和8年通常国会成立)

  • 厚生労働省「電子カルテ情報共有サービス」

  • 厚生労働省「標準型電子カルテ(導入版)」に関する公表資料

  • デジタル庁 医療DX関連資料

免責事項

本記事は2026年7月時点で公表されている法令、厚生労働省資料および厚生労働大臣記者会見の内容に基づき作成しています。制度運用や通知、Q&A等により取り扱いが変更される可能性があります。実際の電子カルテ導入や制度対応、診療報酬の算定に当たっては、最新の法令・通知・疑義解釈資料等をご確認いただくとともに、必要に応じて関係機関や専門家へご相談ください。

 
 
 

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