【令和8年度調剤報酬改定】薬局経営は「立地」から「機能」で選ばれる時代へ
- Yuki

- 5月28日
- 読了時間: 10分

365メディカルが読み解く、薬局が今すぐ備えるべき5つの変化
2026年度、いわゆる令和8年度の調剤報酬改定は、薬局経営にとって大きな転換点になる可能性があります。
これまでの薬局経営では、医療機関の近くに立地し、処方箋を受け、正確に調剤することが収益の中心でした。もちろん、調剤の正確性や安全性は今後も薬局の基本です。
しかし、今回の改定でより明確になったのは、国が薬局に求める役割が「薬を渡す場所」から「地域医療を支える機能」へ移っているということです。
薬局に求められるのは、賃上げへの対応、物価高への対応、医療DXへの対応、かかりつけ機能の実質化、在宅医療への関与、バイオ後続品への説明体制など、多岐にわたります。
つまり、これからの薬局経営では、「どこにある薬局か」ではなく、「何ができる薬局か」が問われる時代に入ります。
本記事では、365メディカルの視点から、令和8年度調剤報酬改定で薬局が押さえるべき5つのポイントを、現場実務に落とし込んで解説します。
1. 賃上げ・物価高対応は「一時的な加算」ではなく、経営管理の課題になる
今回の改定で注目される項目の一つが、薬局職員の処遇改善や物価高騰に対応する評価です。
調剤ベースアップ評価料は、保険薬局に勤務する薬剤師や事務職員等の賃上げを支援する目的で新設されました。また、物価高騰に対応するための評価も設けられています。
ここで重要なのは、これらを単なる「点数が増える話」と捉えないことです。
賃上げ対応は、今後の薬局経営において、以下のような実務管理とセットになります。
対象職員の整理
賃金改善計画の作成
届出様式の作成
実績報告
人件費原資の管理
職員への説明
将来の人材確保・定着戦略
特に中小規模の薬局では、制度を理解していても、届出・記録・報告まで手が回らないケースが出てくる可能性があります。
今後は、調剤報酬を算定するための「現場運用」と、賃金改善を証明するための「バックオフィス管理」が一体化していきます。
365メディカルとしては、薬局経営においても、診療報酬・調剤報酬を単なる点数表として見るのではなく、経営管理、労務管理、証憑管理の仕組みとして整備することが重要だと考えています。
2. 門前・医療モール依存型薬局は、より厳しい評価を受ける時代へ
今回の改定で象徴的なのが、立地依存型の薬局に対する評価の見直しです。
これまで国は、「患者のための薬局ビジョン」などを通じて、薬局に対して門前から地域へ、対物業務から対人業務へという方向性を示してきました。
しかし現実には、医療機関の近くに薬局を構える門前型、医療モールに隣接する薬局、特定医療機関からの処方箋に大きく依存する薬局は、依然として多く存在します。
令和8年度改定では、都市部における新規開設薬局や、処方箋集中率が高い薬局に対して、より厳しい評価が行われる方向が示されています。
特に注意すべきなのは、以下のような薬局です。
都市部で新規開設を予定している薬局
周辺に薬局が密集している地域の薬局
特定医療機関からの処方箋比率が高い薬局
医療モール型の集患に依存している薬局
処方箋枚数は多いが、地域活動・在宅・服薬支援の実績が弱い薬局
これからの薬局経営では、立地や処方箋枚数だけではなく、地域の中でどのような機能を担っているかを示す必要があります。
例えば、在宅対応、服薬フォロー、医療機関との連携、地域住民への健康支援、医療DXへの対応などが、薬局の差別化要素になります。
「良い場所にあるから選ばれる薬局」から、「機能があるから選ばれる薬局」へ。
この転換に対応できるかどうかが、今後の薬局経営を左右します。
3. 医療DX対応は、薬局経営の収益維持にも直結する
令和8年度改定では、薬局における医療DX対応も重要なテーマになっています。
電子的な調剤情報連携、オンライン資格確認、マイナンバーカードの利用促進、電子処方箋、薬剤情報の連携など、薬局にもデジタル対応が強く求められています。
医療DXは、単に「システムを導入すればよい」というものではありません。
実際には、以下のような運用整備が必要です。
オンライン資格確認の運用
マイナ保険証利用促進の院内・店頭対応
電子処方箋への対応
薬歴・調剤情報の適切な管理
患者説明の標準化
スタッフ教育
セキュリティ対策
トラブル時の対応フロー整備
薬局における医療DXは、受付、薬剤師、事務スタッフ、管理者が同じルールで動ける状態にして初めて機能します。
特に、マイナンバーカード利用率など、実績に関わる指標が評価に影響する場合、システム導入だけでは不十分です。患者への声かけ、掲示、導線設計、スタッフの説明力まで含めて整備する必要があります。
つまり、医療DXは「IT部門の話」ではなく、薬局全体のオペレーション改革です。
365メディカルでは、医療機関向けのDX支援、制度対応、台帳・証憑管理の支援を行っています。薬局においても、今後は「導入したか」ではなく、「運用できているか」「実績を説明できるか」が重要になると考えています。
4. 「かかりつけ薬剤師」は、名称ではなく実績で評価される方向へ
令和8年度改定では、かかりつけ薬剤師に関する評価体系にも大きな見直しが行われています。
これまでのように、患者が特定の薬剤師をかかりつけとして同意するだけではなく、実際にどのような服薬支援、フォローアップ、残薬調整、医療機関との連携を行ったかが、より重要になります。
今後の薬局に求められるのは、次のような実践です。
服薬状況の継続的な確認
副作用や飲み忘れの確認
残薬の把握と調整
必要に応じた医師への情報提供
患者の生活背景を踏まえた服薬支援
電話・オンライン等を活用したフォローアップ
在宅患者への対応
ここで問われるのは、「かかりつけを名乗っているか」ではありません。
実際に患者の服薬管理に関与し、問題を見つけ、改善につなげ、その記録を残しているかどうかです。
薬局にとっては、業務の質を高めるだけでなく、記録の標準化も重要になります。
どの患者に、いつ、誰が、どのようなフォローを行い、どのような結果につながったのか。これを薬局内で共有し、必要に応じて説明できる体制が必要です。
今後は、動いた薬剤師、記録を残した薬局、連携できる薬局が評価される時代になります。
5. 在宅医療・バイオ後続品対応は、薬局の専門性を問う領域になる
薬局の役割は、外来患者への調剤だけではありません。
高齢化が進む中で、在宅医療における薬剤師の役割はますます大きくなっています。特に、ポリファーマシー、残薬、服薬困難、認知機能の低下、家族介護の負担など、在宅現場には薬剤師が関与すべき課題が多くあります。
令和8年度改定では、医師と薬剤師が連携し、在宅患者の薬物治療をより適切に管理する方向性が示されています。
薬剤師は、単に薬を届ける存在ではなく、医師や看護師、ケアマネジャーと連携しながら、薬物治療の安全性と継続性を支える存在です。
また、バイオ後続品、いわゆるバイオシミラーへの対応も重要になります。
バイオ後続品は、医療費適正化の観点からも注目されていますが、患者にとっては「本当に同じように使えるのか」「副作用は大丈夫なのか」といった不安が生じやすい領域です。
そのため、薬剤師には、単に切り替えを案内するだけでなく、患者が納得できる説明を行う力が求められます。
今後の薬局には、次のような専門性が必要になります。
バイオ後続品に関する正確な知識
患者へのわかりやすい説明
医師との情報共有
採用医薬品の管理
切り替え後のフォロー
副作用や不安への対応
記録と説明履歴の管理
在宅医療とバイオ後続品対応は、いずれも薬局の専門性を可視化する領域です。
ここに取り組める薬局は、地域医療の中で明確な役割を持つことができます。
令和8年度改定で薬局が準備すべきこと
今回の改定を踏まえると、薬局が今から準備すべきことは大きく5つあります。
1. 届出・施設基準・算定要件の確認
新設・見直しされる項目について、算定できるかどうかを早めに確認する必要があります。特にベースアップ評価料、医療DX関連加算、在宅関連評価、バイオ後続品関連評価などは、届出や実績管理が必要になる場合があります。
2. 賃上げ・人件費管理の見直し
賃上げ対応は、単なる給与改定ではなく、制度対応と経営管理の両方が必要です。計画、実績、報告の流れを整理しておくことが重要です。
3. 医療DX運用の標準化
オンライン資格確認、マイナ保険証、電子処方箋、薬剤情報連携などについて、スタッフ全員が同じ対応をできる状態にする必要があります。
4. 対人業務の記録体制整備
服薬フォロー、残薬確認、在宅対応、医師への情報提供など、対人業務の記録を標準化することが重要です。実施したことを記録し、説明できる状態にする必要があります。
5. 薬局の地域機能を見える化する
地域住民、医療機関、介護事業所から見て、その薬局が何を担えるのかを明確にする必要があります。ホームページ、店頭掲示、パンフレット、地域連携資料などを通じて、薬局機能を発信することも重要です。
365メディカルの視点:薬局にも「制度対応DX」が必要になる
令和8年度調剤報酬改定は、薬局に対して、単なる点数対応ではなく、運用体制そのものの見直しを求めています。
これからの薬局経営では、以下の3つが重要になります。
算定要件を理解すること
実際に運用できる体制を作ること
届出・記録・実績を説明できる状態にすること
これは、医科・歯科・薬局に共通する流れです。
365メディカルでは、医療DX、診療報酬改定対応、施設基準、台帳・証憑管理、バックオフィス支援を通じて、医療機関の制度対応をサポートしています。
薬局においても、今後は「制度を知っている」だけでは足りません。
制度に対応するための業務設計、スタッフ教育、記録管理、情報発信まで含めて、薬局経営を支える仕組みが必要です。
まとめ:薬局は「選ばれる理由」を作る時代へ
令和8年度調剤報酬改定は、薬局にとって厳しい改定である一方、地域医療の中で存在価値を高める大きな機会でもあります。
立地に依存する薬局から、地域に必要とされる薬局へ。処方箋を待つ薬局から、患者に関わり続ける薬局へ。システムを入れるだけのDXから、運用できる医療DXへ。
この変化に対応できる薬局は、今後の地域医療の中で重要な役割を担うことになります。
最後に、薬局経営者・管理薬剤師の皆さまに問いかけたいことがあります。
あなたの薬局は、立地がなくても患者さんに選ばれ続ける準備ができていますか。
令和8年度改定は、その答えを具体的に準備するタイミングです。
365メディカルにご相談ください
365メディカルでは、医療DX、診療報酬改定対応、制度対応、台帳・証憑管理、バックオフィス支援などを通じて、医療機関・薬局の運営改善をサポートしています。
令和8年度改定への対応に不安がある場合は、まずは現状整理からご相談ください。
制度対応は、早めに準備した医療機関・薬局ほど、運用負担を減らすことができます。
引用・参照
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について」
厚生労働省「調剤ベースアップ評価料を令和8年6月から算定するには」
厚生労働省「患者のための薬局ビジョン」
各種調剤報酬改定関連資料
免責事項
本記事は、令和8年度調剤報酬改定に関する公表資料等をもとに、薬局経営・医療DX・制度対応の観点から一般的な情報提供を目的として作成したものです。実際の算定可否、施設基準、届出要件、運用方法については、最新の厚生労働省資料、地方厚生局通知、関係団体資料、専門家の助言等をご確認ください。本記事の内容は、個別の薬局における算定や届出の結果を保証するものではありません。




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