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標準型電子カルテとは?

  • 執筆者の写真: Yuki
    Yuki
  • 6月17日
  • 読了時間: 11分


2026年最新情報をもとに、クリニック・中小病院が今から準備すべきこと


医療DXの流れの中で、いま医療機関が特に注目すべきテーマの一つが「標準型電子カルテ」です。

これまで電子カルテは、各メーカー・各医療機関ごとに仕様や運用が異なり、情報連携やデータ移行、システム更新のたびに大きな負担が発生してきました。特に中小病院やクリニックでは、「導入費用が高い」「操作が複雑」「今の業務に合うかわからない」「更新時のデータ移行が不安」といった理由から、電子カルテ導入を先送りしてきたケースも少なくありません。

しかし、国は医療DXの一環として、2030年までに概ねすべての医療機関で、必要な患者情報を共有するための電子カルテ導入を目指す方針を示しています。さらに、2026年夏までに電子カルテおよび電子カルテ情報共有サービスの具体的な普及計画を策定する予定とされています。 

この記事では、2026年6月時点の最新情報をもとに、標準型電子カルテの概要、今後のスケジュール、医療機関への影響、そしてクリニック・中小病院が今から準備すべきポイントを、365メディカルの視点でわかりやすく解説します。



標準型電子カルテとは何か


標準型電子カルテとは、簡単に言えば、国の医療DXに対応しやすい形で設計される、標準仕様に基づいた電子カルテの仕組みです。

従来の電子カルテは、医療機関ごとのカスタマイズやメーカー独自仕様が多く、便利な反面、システム更新・データ移行・他システム連携に課題がありました。特に、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービス、オンライン資格確認、診療報酬改定DXなど、国が進める医療DX施策に対応するには、単に「紙カルテを電子化する」だけでは不十分になっています。

厚生労働省は、医科診療所向けの標準仕様として、電子カルテ情報共有サービス・電子処方箋への対応、SaaS型クラウドサービス、標準APIの搭載、データ引き継ぎが可能な互換性の確保などを要件の参考にすると示しています。 

つまり、これからの電子カルテに求められるのは、入力しやすいことだけではありません。

つながること、移行できること、制度改定に対応できること、証跡を残せること、クラウド環境で安全に運用できることが重要になります。


2026年時点の最新動向


2026年6月時点で押さえておきたいポイントは、主に次の3つです。

1つ目は、医科無床診療所向けに「標準型電子カルテ導入版」が開発されていることです。

厚生労働省の資料では、現在、医科無床診療所向けの標準型電子カルテ、つまりクラウドネイティブ型電子カルテの中で、国の医療DX対応機能に限定した「導入版」を開発中であり、2026年度中の完成を目指しているとされています。 

2つ目は、標準型電子カルテ導入版が、すぐにすべての診療録業務を置き換えるものではなく、まずは医療DX対応を中心に設計されていることです。

厚生労働省は、標準型電子カルテシステム導入版について、クリック操作を基本とした直感的に使いやすいシンプルな画面設計を目指し、電子カルテ情報共有サービスを利用する病院・診療所からの診療情報提供書や検査データの閲覧、自院の検査データの登録などの機能を備える予定と説明しています。 

3つ目は、中小病院向け・医科診療所向けの標準仕様がすでに整理され始めていることです。

厚生労働省は、中小病院向け電子カルテ・レセプトコンピュータ標準仕様書、医科診療所向け電子カルテ・レセプトコンピュータ標準仕様書を策定しており、認証制度については今後掲載予定としています。 

これは、今後の電子カルテ選定において、単に「価格が安い」「使い慣れている」だけでなく、国の標準仕様に沿っているかどうかが重要な判断基準になることを意味します。


標準型電子カルテで何が変わるのか


標準型電子カルテの登場によって、医療機関のシステム選定は大きく変わります。

これまでは、電子カルテを導入する際に、各社の機能や操作性、価格、サポート体制を比較することが中心でした。もちろん今後もそれらは重要です。しかし、今後はそれに加えて、次のような観点が欠かせなくなります。

まず、電子カルテ情報共有サービスに対応できるかです。

電子カルテ情報共有サービスは、全国医療情報プラットフォームの仕組みの一つとして、全国の医療機関や薬局などで患者の電子カルテ情報を共有するための仕組みです。提供内容として、診療情報提供書の電子共有、健診結果の閲覧、患者の6情報の閲覧、患者サマリーの本人閲覧などが示されています。 

次に、電子処方箋に対応できるかです。

電子処方箋は、処方箋を電子的に運用するだけでなく、複数の医療機関や薬局での処方・調剤情報を活用し、重複投薬等チェックにもつながる仕組みです。標準型電子カルテ導入版でも、診療情報提供書の送付や電子処方箋の発行が可能になることが想定されています。 

さらに、データ移行性・互換性も重要になります。

これまで、電子カルテの入れ替え時には、データ移行が大きな負担になっていました。過去カルテをどこまで移行するか、画像や文書をどう扱うか、旧システムをいつまで閲覧専用で残すかなど、現場には多くの課題がありました。標準仕様では、データ引き継ぎが可能な互換性の確保も重要な方向性として示されています。 

つまり、標準型電子カルテの本質は、単なる「新しい電子カルテ」ではなく、医療機関の情報を、将来にわたって安全に使い続けるための基盤整備にあります。


クリニックにとっての影響


クリニックにとって、標準型電子カルテは特に大きな意味を持ちます。

現在、紙カルテや古いオンプレミス型システムを利用しているクリニックでは、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービス、医療DX推進体制、オンライン資格確認など、制度対応が個別に積み上がっていくことで、院内の負担が増えやすくなっています。

標準型電子カルテ導入版は、紙カルテや現行電子カルテの業務をそのまま残しながら、国の医療DXに対応できる構成も想定されています。厚生労働省の資料でも、診療録は紙カルテに記載しつつ、導入版で電子カルテ情報共有サービスや電子処方箋に対応するイメージが示されています。 

これは、すぐにすべての業務を電子カルテへ完全移行することが難しいクリニックにとって、現実的な選択肢になる可能性があります。

一方で注意すべき点もあります。

標準型電子カルテが完成したからといって、すぐにすべての医療機関が同じように導入できるわけではありません。既存のレセコン、予約システム、検査会社、画像管理、会計、院内ネットワーク、セキュリティ体制との関係を整理する必要があります。

特にクリニックでは、院長・事務長・受付スタッフが日常業務を回しながら制度対応を進めるため、**「いつ導入するか」よりも「何を準備しておくか」**が重要です。


中小病院にとっての影響


中小病院の場合、クリニック以上にシステム構成が複雑です。

電子カルテ、レセコン、部門システム、検査システム、画像システム、看護支援、リハビリ、栄養、薬剤、医事会計など、多くのシステムが連携しています。そのため、標準型電子カルテへの対応は、単なる電子カルテの入れ替えではなく、病院全体の情報システム刷新計画として考える必要があります。

厚生労働省は、病院向けの標準仕様について、現在のオンプレミス型システムを刷新し、電子カルテ、レセプトコンピュータ、部門システムを一体的に、モダン技術を活用したクラウド型システムへ移行する方向性を示しています。また、2030年までのできる限り早い時期に、希望する病院が導入できる環境を整備する目標も示されています。 

中小病院では、次回のシステム更新時期が非常に重要になります。

2027年、2028年、2029年に電子カルテ更新を予定している病院は、今から標準仕様への対応状況をベンダーに確認しておく必要があります。短期的な価格だけで判断すると、数年後に再改修・再連携・追加費用が発生する可能性があります。


今から確認すべき5つのポイント


標準型電子カルテへの対応を見据えて、医療機関が今から確認すべきポイントは次の5つです。


1. 現在の電子カルテ・レセコンの契約更新時期

まず確認すべきは、現在利用している電子カルテ・レセコンの契約期間、保守契約、更新時期です。

標準型電子カルテの動きが本格化する中で、今後数年以内に更新時期を迎える医療機関は、次回更新を単なる機器入れ替えではなく、医療DX対応の節目として捉える必要があります。


2. 電子カルテ情報共有サービスへの対応予定

電子カルテ情報共有サービスにいつ、どのように対応するのかを確認する必要があります。

ベンダーに対しては、対応予定の有無だけでなく、対応時期、追加費用、必要な院内作業、既存データの扱い、検査会社との連携範囲まで確認することが重要です。


3. 電子処方箋への対応状況

電子処方箋は、今後の医療DXにおいて避けて通れないテーマです。

現在未導入の場合でも、導入するかどうかを検討するだけでなく、電子カルテ・レセコン・薬局連携・院内運用の変更点を整理しておく必要があります。


4. クラウド化・セキュリティ対策

標準型電子カルテでは、クラウドネイティブ、SaaS型、ガバメントクラウド対応などが重要なキーワードになります。

一方で、クラウド化は「サーバーを院外に置けばよい」という単純な話ではありません。二要素認証、アクセス権限、ログ管理、バックアップ、障害時対応、サイバー攻撃時のBCPなど、院内ルールの整備が必要です。


5. 院内業務フローと証跡管理

電子カルテ導入で見落とされがちなのが、院内業務フローと証跡管理です。

誰が入力するのか。誰が確認するのか。誰が修正するのか。どの情報を外部共有するのか。患者説明や同意取得はどう記録するのか。

医療DXでは、システムを入れること以上に、「正しく運用していることを説明できる状態」が重要になります。

ここは、365メディカルが特に重視している領域です。


365メディカルが考える標準型電子カルテ対応の本質


365メディカルでは、標準型電子カルテへの対応を、単なるシステム導入ではなく、医療機関の制度対応・情報管理・運用設計を見直す機会だと考えています。

今後、医療機関にはさまざまな情報管理が求められます。

施設基準の届出情報。WEB掲示情報。医療DX推進体制の整備状況。電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスへの対応状況。サイバーセキュリティ対策。院内掲示とホームページ掲載の整合性。各種届出・更新・証憑の保管。

これらは別々の業務に見えますが、実際にはすべてつながっています。

標準型電子カルテの時代には、医療機関が保有する情報を、診療・請求・掲示・届出・監査・連携において、矛盾なく管理することが求められます。

その意味で、365メディカルが展開する365Registry医療機関WEB掲示サポートは、標準型電子カルテ時代の周辺業務を支える基盤になり得ると考えています。

電子カルテそのものを導入するだけでは、制度対応は完了しません。

重要なのは、電子カルテを中心に、医療機関の情報をどのように管理し、どのように外部へ説明し、どのように証跡を残すかです。


まとめ:標準型電子カルテは「いつか」ではなく「今から」準備するテーマ


標準型電子カルテは、まだすべての詳細が確定しているわけではありません。

しかし、方向性は明確です。

国は2030年を見据え、電子カルテ情報の標準化、電子カルテ情報共有サービス、電子処方箋、クラウド化、標準API、データ互換性を軸に、医療機関の情報基盤を大きく変えようとしています。

2026年度中には医科無床診療所向けの標準型電子カルテ導入版の完成が目指されており、2026年夏までには電子カルテ・電子カルテ情報共有サービスの具体的な普及計画も策定予定とされています。 

クリニックや中小病院にとって大切なのは、今すぐ焦ってシステムを入れ替えることではありません。

まずは、現在のシステム契約、更新時期、ベンダー対応状況、院内業務フロー、セキュリティ、証跡管理、WEB掲示・届出情報の管理状況を整理することです。

標準型電子カルテは、医療機関にとって負担である一方、これまで属人的・紙ベース・個別対応だった業務を見直す大きなチャンスでもあります。

365メディカルでは、医療DX、施設基準、WEB掲示、証憑管理、業務フロー設計の観点から、医療機関が標準型電子カルテ時代にスムーズに対応できる体制づくりを支援してまいります。


参考・参照情報

  • 厚生労働省「電子カルテの普及について」

  • 厚生労働省「医療DXについて」

  • 厚生労働省「中小病院向け電子カルテ及びレセプトコンピュータ標準仕様書、医科診療所向け電子カルテ及びレセプトコンピュータ標準仕様書」

  • 厚生労働省「電子カルテ情報共有サービス」


免責事項

本記事は、2026年6月17日時点で公表されている厚生労働省等の公開情報をもとに、365メディカルが医療機関向けにわかりやすく整理したものです。制度内容、補助金、導入要件、スケジュール、認証制度等は今後変更される可能性があります。実際の導入判断、届出、契約、システム選定にあたっては、最新の公的資料、所管機関、電子カルテベンダー、専門家等に必ずご確認ください。

 
 
 

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