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電子カルテ導入・AI活用に使える補助金はどちらを選ぶべきか

  • 執筆者の写真: Yuki
    Yuki
  • 6月11日
  • 読了時間: 10分

デジタル化・AI導入補助金と電子カルテ情報共有サービス導入補助金の違いを、医療機関向けに解説


医療機関を取り巻く環境は、ここ数年で大きく変わり始めています。

オンライン資格確認、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービス、医療DX推進体制、サイバーセキュリティ対策、生成AIを活用した業務効率化。これらは、もはや一部の先進的な医療機関だけが取り組むテーマではありません。クリニック、歯科医院、病院、薬局にとっても、日々の診療体制や経営体制に直結する実務課題になっています。

特に、電子カルテの新規導入や更新を検討している医療機関では、次のような相談が増えています。

「電子カルテを入れ替えたいが、補助金は使えるのか」「AI問診や音声入力、予約管理システムにも補助金は使えるのか」「国が進める電子カルテ情報共有サービスへの対応は、通常のIT補助金と何が違うのか」「自院の場合、どの制度を優先すべきなのか」

そこで今回は、医療機関が混同しやすい2つの制度、デジタル化・AI導入補助金と、電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金について、365メディカルの視点から整理します。

結論から言えば、両者は似ているようで目的がまったく異なります。

デジタル化・AI導入補助金は、院内業務の効率化や生産性向上を目的とした補助金です。一方、電子カルテ情報共有サービス導入補助金は、全国医療情報プラットフォームに接続し、医療情報を標準化・共有するための補助金です。

つまり、前者は「院内を便利にするための補助金」、後者は「国の医療情報連携基盤につながるための補助金」と考えると分かりやすいでしょう。


1. デジタル化・AI導入補助金とは


デジタル化・AI導入補助金は、これまでのIT導入補助金の流れを引き継ぎながら、中小企業・小規模事業者等のデジタル化やAI活用を支援する制度です。

医療機関で考えると、以下のようなシステム導入が検討対象になります。

・電子カルテ・予約管理システム・WEB問診システム・自動精算機・会計システム・勤怠管理・給与管理システム・在庫管理システム・AI問診・音声入力によるカルテ作成支援・生成AIを活用した文書作成支援・セキュリティ関連ツール・インボイス制度対応システム

特徴は、比較的幅広いITツールが対象になり得る点です。

医療DXと聞くと、電子カルテだけを想像しがちですが、実際の医療機関の現場では、受付、会計、予約、問診、診療記録、スタッフ管理、請求、文書管理など、多くの業務が複雑に絡み合っています。

そのため、まずは院内の業務負担を減らしたい、スタッフの残業を減らしたい、紙やExcel管理を減らしたい、という医療機関には、デジタル化・AI導入補助金が選択肢になりやすいと言えます。

また、クラウド利用料が一定期間対象になる場合がある点も、医療機関にとっては重要です。近年の電子カルテや予約システム、問診システムは、買い切り型ではなく月額利用型のクラウドサービスが増えています。初期費用だけでなく、一定期間のクラウド利用料が補助対象になるかどうかは、導入時の資金計画に大きく影響します。


2. 電子カルテ情報共有サービス導入補助金とは


一方、電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金は、通常の業務効率化を目的とした補助金ではありません。

この制度の中心にあるのは、国が進める医療情報の標準化と共有です。

電子カルテ情報共有サービスでは、医療機関同士、また医療機関と薬局等の間で、患者情報を安全に共有することが想定されています。対象となる情報としては、いわゆる「3文書6情報」が挙げられます。

3文書とは、診療情報提供書、退院時サマリー、健診結果報告書などを指します。6情報とは、傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報、処方情報など、診療に必要な主要情報を指します。

これらの情報を全国的に共有するためには、電子カルテごとにバラバラなデータ形式では対応できません。そこで重要になるのが、HL7 FHIRという医療情報交換の標準規格です。

電子カルテ情報共有サービス導入補助金は、電子カルテや関連システムをこの標準規格に対応させるための改修、接続、設定、ネットワーク整備などを支援する制度と考えると分かりやすいでしょう。

つまり、単に「電子カルテを便利にする」ためではなく、「国の医療情報連携基盤につながる電子カルテにする」ための補助金です。


3. 2つの補助金の大きな違い


両者の違いを一言で表すなら、目的の違いです。

デジタル化・AI導入補助金は、医療機関の内部業務を効率化するための制度です。受付業務を減らす、カルテ入力を短縮する、会計処理を効率化する、スタッフの勤怠管理を簡単にする、といった「院内の生産性向上」が主な目的です。

一方、電子カルテ情報共有サービス導入補助金は、医療機関の外部連携を進めるための制度です。他院、薬局、患者本人などと医療情報を共有し、地域医療や全国的な医療情報連携を進めることが主な目的です。

対象費用にも違いがあります。

デジタル化・AI導入補助金では、ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入設定、導入研修、保守サポート、導入コンサルティングなどが対象になり得ます。

一方、電子カルテ情報共有サービス導入補助金では、電子カルテ等を国の情報共有基盤に対応させるための改修費用、FHIR対応、システムエンジニアの作業費、ネットワーク整備費などが中心になります。

つまり、予約システムやAI問診、勤怠管理、会計システムなどを導入したい場合は、デジタル化・AI導入補助金の方が検討しやすくなります。反対に、電子カルテ情報共有サービスへの接続や、3文書6情報の送受信に対応したい場合は、電子カルテ情報共有サービス導入補助金を確認すべきです。


4. 医療機関別の選び方


では、自院はどちらを優先すべきなのでしょうか。

まず、開業医や小規模クリニックで、現在の課題が「受付が回らない」「電話対応が多い」「問診票の転記に時間がかかる」「カルテ入力に時間がかかる」「スタッフの勤怠管理が煩雑」といった内容であれば、デジタル化・AI導入補助金を優先して検討する価値があります。

特に、WEB予約、WEB問診、AI問診、音声入力、クラウド電子カルテ、会計システムなどを組み合わせることで、日常業務の負担を大きく減らせる可能性があります。

一方で、病院や地域連携が多いクリニック、紹介状のやり取りが多い医療機関、退院時サマリーや診療情報提供書の作成・共有が多い医療機関では、電子カルテ情報共有サービスへの対応を早めに検討する必要があります。

特に、オンライン資格確認や電子処方箋への対応、医療DX推進体制、標準型電子カルテ、HL7 FHIR対応などは、今後の診療報酬や施設基準、医療DX政策とも関係してくる可能性があります。

そのため、単純に「補助金額が大きい方を選ぶ」のではなく、自院のロードマップに合う制度を選ぶことが重要です。


5. 両方を組み合わせられる可能性もある


実務上は、どちらか一方だけを選ぶというより、目的を分けて組み合わせる考え方も重要です。

たとえば、院内業務の効率化にはデジタル化・AI導入補助金を活用し、電子カルテの標準化・情報共有対応には電子カルテ情報共有サービス導入補助金を検討する、という整理です。

ただし、同じ費用に対して複数の補助金を重複して使うことは、原則として認められない場合が多くあります。導入するシステム、対象経費、見積書の内容、補助対象範囲を明確に分ける必要があります。

また、補助金は「申請すれば必ずもらえる」ものではありません。公募期間、採択条件、対象事業者、対象ツール、ベンダー登録、交付決定前の契約可否など、制度ごとに細かなルールがあります。

特に注意すべきなのは、交付決定前に契約・発注・支払いをしてしまうと、補助対象外になる可能性がある点です。電子カルテやAIシステムは導入費用が大きくなりやすいため、契約前の確認が欠かせません。


6. 365メディカルが考える補助金活用のポイント


365メディカルでは、補助金を「安く導入するための手段」としてだけ見るべきではないと考えています。

本当に大切なのは、補助金を使った後に、医療機関の業務がきちんと改善されることです。

よくある失敗例として、次のようなケースがあります。

・補助金が使えるからという理由だけでシステムを選んでしまう・電子カルテ、予約、問診、会計が連携せず、かえって二重入力が増える・導入後の運用ルールが決まっておらず、現場に定着しない・スタッフ教育が不十分で、一部の職員しか使えない・施設基準やWEB掲載、証憑管理との関係まで整理できていない・サイバーセキュリティやバックアップ体制が後回しになる

医療DXは、システムを入れることがゴールではありません。

導入したシステムが、診療、事務、会計、労務、施設基準、情報管理、患者対応にきちんとつながり、現場の負担を減らすことが重要です。

そのためには、補助金の対象可否だけでなく、導入後の運用設計、院内マニュアル、スタッフ教育、WEB掲載、証憑保管、更新管理まで含めて考える必要があります。

365メディカルでは、医療機関のDX推進、電子カルテ導入、施設基準対応、WEB掲載、証憑管理を一体的に整理し、現場に合った運用設計を支援しています。


7. まとめ:補助金選びは「制度」ではなく「自院の目的」から考える


デジタル化・AI導入補助金と、電子カルテ情報共有サービス導入補助金は、どちらも医療DXに関係する重要な制度です。

しかし、目的は異なります。

院内業務の効率化、AI活用、予約・問診・会計・勤怠管理などを進めたい場合は、デジタル化・AI導入補助金が候補になります。

一方、電子カルテ情報共有サービスへの接続、3文書6情報の共有、HL7 FHIR対応、地域医療連携を進めたい場合は、電子カルテ情報共有サービス導入補助金の確認が必要です。

これからの医療機関には、単なるシステム導入ではなく、制度対応、診療報酬、施設基準、WEB掲載、証憑管理、サイバーセキュリティまで見据えたIT化ロードマップが求められます。

「自院の場合、どの補助金が使えるのか」「電子カルテ更新とAI導入をどう進めるべきか」「施設基準やWEB掲載、証憑管理まで含めて整理したい」

このようなお悩みがある医療機関は、ぜひ365メディカルまでご相談ください。

365メディカルは、医療機関の制度対応とDX推進を、実務に落とし込むパートナーとして、医院長・事務長・現場スタッフの皆さまをサポートします。


引用・参照

・デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト・デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠・デジタル化・AI導入補助金2026 事業スケジュール・厚生労働省「電子カルテ情報共有サービス」・日本医療情報学会 FHIR IGポータル・中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金」関連資料・社会保険診療報酬支払基金、厚生労働省、各補助金公募要領等


免責事項

本記事は、医療機関における補助金活用および医療DX推進に関する一般的な情報提供を目的として作成したものです。補助金の名称、対象経費、補助率、補助上限額、申請条件、公募期間等は、年度や公募回により変更される場合があります。

実際に申請を行う際は、必ず各補助金の公式サイト、公募要領、交付規程、Q&A、管轄機関の最新情報をご確認ください。また、補助金の採択や交付を保証するものではありません。個別の申請可否、会計処理、税務処理、契約内容については、必要に応じて専門家または所管機関へご相談ください。

出典確認メモ:デジタル化・AI導入補助金2026の公式サイトでは、IT導入支援事業者・ITツール登録が2026年3月30日から始まっていること、通常枠の対象にソフトウェア購入費、クラウド利用料最大2年分、導入コンサルティング・導入設定・研修・保守サポート等が含まれることが示されています。

電子カルテ情報共有サービスについて、厚生労働省は、医療機関等が患者の6情報を閲覧できるサービス等として位置づけています。また、FHIR IGポータルでは、電子カルテ情報共有サービス実装ガイドや3文書・6情報に関する仕様が公開されています。 

補助額や補助率は公募回・枠・医療機関の規模で変わるため、記事内では断定を避けています。中小企業庁資料では、デジタル化・AI導入補助金について最大450万円、補助率1/2〜4/5との説明が確認できます。 

 
 
 

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