6月の調剤報酬改定で薬局選びはどう変わる?
- Yuki

- 5月23日
- 読了時間: 8分

知らないと損をする「薬局選び」4つの新常識
病院で診察を受けたあと、処方箋をどの薬局に出すか。
多くの方は、「病院のすぐ近くだから」「いつも行っているから」「待ち時間が短そうだから」といった理由で薬局を選んでいるのではないでしょうか。
しかし、薬局はどこでも同じではありません。
2026年6月1日から始まる令和8年度診療報酬改定では、調剤報酬の仕組みも見直され、薬局の機能、医療DX対応、かかりつけ機能、服薬管理のあり方がより重視される方向になっています。厚生労働省の令和8年度改定資料でも、調剤分野において調剤基本料、服薬管理指導料、かかりつけ機能、電子的な情報連携体制などが整理されています。
つまり、これからの薬局選びは、単に「近い」「早い」「安い」だけではなく、自分にとって必要な薬局機能を選ぶ時代に入っていきます。
1. 「門前薬局」と「街の薬局」は同じではない
まず知っておきたいのが、病院の近くにある薬局、いわゆる門前薬局と、住宅街や駅前などにある地域密着型の薬局では、役割や料金体系が異なる場合があるという点です。
一般的に、病院のすぐ近くにある門前薬局は、その医療機関から多くの処方箋を受け付けています。そのため、処方されやすい薬の在庫がそろっていることが多く、スムーズに薬を受け取れる可能性があります。
一方、地域密着型の薬局は、複数の医療機関の処方箋を受け付けながら、地域住民の健康相談、服薬管理、在宅対応、かかりつけ機能などを担うことが期待されています。
患者側から見た選び方
単発の風邪や一時的な薬であれば、病院近くの薬局は便利です。
一方で、持病がある方、複数の病院に通っている方、薬の種類が多い方は、地域の薬局で継続的に薬歴を管理してもらうメリットが大きくなります。
大切なのは、「安い薬局」か「相談できる薬局」かを、自分の状況に合わせて選ぶことです。
2. マイナ保険証は「安くなる道具」から「医療情報をつなぐ道具」へ
以前は、「マイナ保険証を使うと窓口負担が変わる」というイメージを持っている方も多かったかもしれません。
しかし、令和8年度改定では、医療DX関連の評価が再編され、薬局では従来の医療DX推進体制整備加算が、電子的調剤情報連携体制整備加算として整理されています。これは、電子処方箋やオンライン資格確認、薬剤情報の活用など、薬局が電子的に調剤情報を連携・活用できる体制を評価する仕組みです。
つまり、マイナ保険証の本質は、単に「安くなるかどうか」ではありません。
重要なのは、薬剤師が必要に応じて過去の薬剤情報や健診情報などを確認し、より安全な服薬管理につなげられることです。
特にメリットが大きい場面
マイナ保険証は、特に次のような場面でメリットがあります。
・複数の医療機関に通っている・薬の種類が多い・同じような薬を重複してもらっている可能性がある・入院や手術などで高額な医療費が発生する可能性がある・限度額適用認定証の手続きを簡略化したい
高額療養費制度に関しても、マイナ保険証を利用し、窓口で情報提供に同意することで、事前に限度額適用認定証を取得しなくても、自己負担限度額までの支払いで済む場合があります。
これからの医療DXでは、マイナ保険証は「提示するカード」ではなく、医療情報を安全につなぐための入口になっていきます。
3. お薬手帳は「3か月以内の再訪」がポイント
薬局で意外と大切なのが、お薬手帳です。
令和8年度の調剤報酬点数表でも、服薬管理指導料において、3か月以内の再調剤で手帳による薬剤情報提供を含む場合と、それ以外の場合で点数が分かれています。日本薬剤師会が公表している令和8年6月1日施行の調剤報酬点数表では、3か月以内の再調剤は45点、3か月以内の再調剤以外は59点とされています。
これは、患者にとってもわかりやすいポイントです。
同じ薬局を継続的に利用し、お薬手帳を提示することで、薬剤師が過去の服薬状況を把握しやすくなります。
結果として、・飲み合わせの確認・副作用歴の確認・重複投薬の防止・残薬の確認・服薬状況の継続的な見守り
につながります。
紙でもアプリでもよい
紙のお薬手帳を忘れやすい方は、スマートフォンのお薬手帳アプリを使う方法もあります。
大切なのは、形式ではなく、薬の情報を継続して管理できることです。
「薬局に行くたびに説明し直す」状態から、薬剤師が継続的に把握してくれている状態に変えることが、これからの薬局活用では重要です。
4. 「かかりつけ薬剤師」は、薬代を増やす制度ではなく、ムダを減らす仕組み
「かかりつけ薬剤師」と聞くと、追加費用がかかるため、少し抵抗を感じる方もいるかもしれません。
しかし、持病がある方、複数の病院に通っている方、薬が多い方にとっては、むしろ医療費全体のムダを減らす可能性があります。
令和8年度改定では、かかりつけ薬剤師に関する評価は、従来の独立した区分から服薬管理指導料へ整理・統合される方向で見直されています。
かかりつけ薬剤師の重要な役割のひとつが、残薬調整です。
たとえば、家に飲み残しの薬がたまっている場合、その状況を薬剤師が確認し、必要に応じて医師へ情報提供することで、次回処方を調整できる場合があります。
これにより、不要な薬を減らし、薬代のムダを防ぐことができます。
かかりつけ薬剤師が向いている人
かかりつけ薬剤師の活用が特に向いているのは、次のような方です。
・複数の病院に通っている・薬の種類が多い・飲み残しがある・副作用や飲み合わせが心配・家族の薬も含めて相談したい・在宅医療や介護と薬の管理が関係している・夜間や休日の相談体制があると安心
100円前後の追加負担が発生する場合でも、残薬調整や重複投薬の防止によって、それ以上のメリットが生まれる可能性があります。
薬局選びは「安さ」だけではなく「機能」で考える時代へ
これからの薬局選びでは、次のような考え方が重要になります。
単発の受診なら
風邪、花粉症、軽いけがなど、一時的な薬を受け取るだけであれば、病院近くの薬局は便利です。
薬の在庫があり、病院の処方傾向にも慣れているため、スムーズに受け取れる可能性があります。
持病があるなら
高血圧、糖尿病、脂質異常症、心疾患、リウマチ、精神科領域の薬など、継続的に薬を服用している方は、同じ薬局を使い続けるメリットが大きくなります。
薬剤師が薬歴を把握し、飲み合わせや副作用、残薬の確認を継続的に行いやすくなるためです。
薬が多いなら
複数の医療機関に通い、薬の種類が多い方は、かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師の活用を検討する価値があります。
薬の重複や飲み合わせを見直すことで、医療費の節約だけでなく、安全性の向上にもつながります。
薬局側に求められる対応も大きく変わる
今回のテーマは患者向けの薬局選びですが、365メディカルとして注目したいのは、薬局側に求められる体制整備です。
令和8年度改定では、電子処方箋、オンライン資格確認、マイナ保険証利用率、薬剤情報の活用、かかりつけ機能など、薬局の業務はますます複雑化しています。
薬局は今後、単に処方箋を受けて薬を渡す場所ではなく、地域の服薬情報を管理し、医療機関・患者・介護現場をつなぐ拠点としての役割が強まります。
そのためには、次のような対応が必要になります。
・電子処方箋への対応・オンライン資格確認の適切な運用・マイナ保険証利用率の管理・薬剤情報・服薬情報の活用・かかりつけ機能の記録管理・お薬手帳利用状況の把握・施設基準や届出状況の管理・掲示物、WEB掲載、患者説明資料の整備・調剤報酬改定に対応したスタッフ教育
これらを薬局内だけで属人的に管理するのは、年々難しくなっています。
365メディカルが考える、これからの薬局DX
365メディカルでは、医療DXを単なるシステム導入ではなく、制度対応・証憑管理・現場運用・経営改善をつなぐ仕組みとして捉えています。
薬局においても、今後は「算定できるか」だけではなく、算定要件を満たしていることを、記録・説明・管理できるかが重要になります。
たとえば、
・施設基準を満たしているか・必要な掲示やWEB掲載ができているか・スタッフが制度変更を理解しているか・マイナ保険証や電子処方箋の運用状況を把握しているか・お薬手帳やかかりつけ機能の実績を管理できているか・調剤報酬改定に応じた業務フローを整備できているか
こうした項目を整理することが、薬局経営の安定化につながります。
まとめ:薬局選びは「近い」から「自分に合う」へ
2026年6月以降、薬局選びはますます重要になります。
薬局はどこでも同じではありません。
一時的な薬であれば、病院近くの薬局が便利なこともあります。
一方で、持病がある方、薬が多い方、家族の薬を管理している方にとっては、地域の薬局やかかりつけ薬剤師を活用することで、安心感や医療費のムダ削減につながる可能性があります。
これからの薬局選びで大切なのは、目先の支払額だけでなく、自分の健康管理に必要な機能を選ぶことです。
そして薬局側にとっては、制度改定、医療DX、電子処方箋、かかりつけ機能、服薬情報管理に対応できる体制づくりが、これまで以上に重要になります。
365メディカルは、医療機関・薬局の制度対応、医療DX、証憑管理、施設基準管理、業務効率化を支援し、地域医療を支える現場の運営基盤づくりをサポートしてまいります。
参考・引用
・厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」・厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」・日本薬剤師会「調剤報酬点数表 令和8年6月1日施行」・電子的調剤情報連携体制整備加算に関する各種解説資料・令和8年度診療報酬改定 医療DX関連資料
免責事項
本記事は、公開情報をもとに365メディカルが独自に整理・編集したものです。調剤報酬、薬局の料金、加算、制度運用、窓口負担額等は、患者の保険負担割合、処方内容、薬局の施設基準、地域、制度改定内容により異なります。実際の費用や制度対応については、必ず薬局、医療機関、厚生労働省等の公式情報をご確認ください。




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