R8診療報酬改定で医療DXは「導入」から「運用」へ
- Yuki

- 3月28日
- 読了時間: 7分

クリニックの院長・事務長が押さえるべき、届出・施設基準・証憑管理の実務
令和8年度診療報酬改定では、厚生労働省が示した基本方針の中で、「医療DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価」が明確に位置付けられています。これは、医療DXが単なる設備導入やシステム導入の話ではなく、診療現場で実際に活用される体制として評価対象になっていることを示しています。クリニックの医院長、事務長、医療従事者にとって、今回の改定を読み解くうえで重要なのは、「何を入れたか」だけでなく、「どう運用しているか」「どう示せるか」という視点です。
厚生労働省の令和8年度診療報酬改定資料では、安心・安全で質の高い医療の推進の具体的方向性として、患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価、データを活用した診療実績による評価の推進と並んで、医療DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価が掲げられています。これは、医療DXが周辺施策ではなく、改定の中心的な論点の一つとして整理されていることを示す公表内容です。
今回の改定で確認しておきたいのが、医療DX関連の評価が、より具体的な制度項目として整理されている点です。厚労省の「これまでの議論の整理」では、Ⅲ-3として「医療DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価」が独立して示され、その中で、電子処方箋システムによる重複投薬等チェックの利活用の推進や、外来・在宅医療等におけるオンライン診療の推進などが明記されています。
さらに、令和8年度診療報酬改定の全体概要版では、「電子的診療情報連携体制整備加算」の新設が示されています。資料上では、医科の初診時について区分1・2・3が設けられ、再診時の評価も記載されています。ここで重要なのは、単にオンライン資格確認を導入しているかではなく、診療情報を取得し、診察室等で閲覧・活用できる体制そのものが施設基準として示されている点です。
厚労省資料に掲載された施設基準では、電子的診療情報連携体制整備加算1について、少なくとも
・オンライン請求を行っていること
・診療報酬明細書を患者に無償で交付していること
・オンライン資格確認を行う体制を有していること
・医師または歯科医師が、オンライン資格確認等システムで取得した診療情報を、診察室、手術室または処置室等で閲覧または活用できる体制を有していること
が示されています。つまり、評価の対象は「契約済み」や「導入済み」だけではなく、院内で実際に使える運用体制です。
また、電子処方箋の活用に関しても、令和8年度診療報酬改定では具体的な評価項目が示されています。外来医療の機能分化・強化等に関する厚労省資料では、電子処方箋管理サービスを用いて最新の薬剤情報を確認し、処方情報登録時に重複投薬等チェック機能を活用し、電子処方箋を発行した場合に「遠隔電子処方箋活用加算」10点を算定できることが記載されています。ここでも評価されているのは、システム保有ではなく、確認・チェック・発行までを含む運用です。
オンライン診療についても同様です。厚労省の議論整理では、情報通信機器を用いた診療の施設基準に、チェックリストのウェブサイト等への掲示や、医療広告ガイドラインの遵守等を追加することが示されています。オンライン診療は、単に実施しているかではなく、施設基準や公開要件を満たして運用しているかが制度上より明確に問われる形になっています。
加えて、令和8年度改定ではデータを活用した診療実績による評価の推進も打ち出されています。厚労省資料では、データ提出加算に係る届出を要件とする入院料の範囲拡大や、外来医療におけるデータ提出に係る評価の見直しが示されています。これは、医療機関にとって「体制を持っていること」だけでなく、「データ提出や実績把握ができること」も重要になっていることを示す公表情報です。
ここで、クリニック経営の実務として見落とせないのが、届出・施設基準・運用根拠資料の管理です。厚生労働省は「令和8年度診療報酬改定について」のページで、留意事項通知、施設基準に関する通知、様式、疑義解釈資料を公表しています。さらに九州厚生局など各地方厚生局でも、改定に伴う施設基準の届出や受理状況の案内ページが整備されています。実務では、改定概要を読むだけでは足りず、告示・通知・疑義解釈・届出様式・厚生局案内まで確認する必要があります。
つまり、R8診療報酬改定における医療DX対応は、次のような実務に分解できます。
オンライン資格確認の体制確認。
診療情報を診察室で閲覧・活用できる運用確認。
電子処方箋やオンライン診療に関する施設基準と運用ルールの確認。
必要な届出の把握。
そして、それらを裏付ける院内資料や証憑の整理です。
この流れを見ると、今回の改定が求めているのは、単なる「導入」ではなく、運用を証明できる状態の整備だと整理できます。
なぜ今、証憑管理が重要になるのか
クリニックの院長や事務長にとって、診療報酬改定対応で負担が大きいのは、制度の理解そのもの以上に、何を確認し、何を残し、何が未整備なのかを院内で見える化することです。
施設基準の届出が必要な項目が増えるほど、
「必要資料は揃っているか」
「運用ルールは文書化されているか」
「担当者ごとに認識のズレはないか」
「後から確認できる状態になっているか」
が重要になります。
特に、医療DX、働き方改革、医療安全、認証対応のように、複数の制度対応が並行する現場では、資料がフォルダや担当者ごとに分散しやすく、準備状況が見えにくくなります。制度改定への対応を確実に進めるには、単発の書類作成ではなく、証憑や運用資料を一覧化し、登録・未登録・更新状況を管理できる仕組みが実務上有効です。
365メディカルのRegistryが支援できること
365メディカルのRegistryは、こうした届出・施設基準・院内運用資料・証憑の管理を見える化するための仕組みとして活用できます。
たとえば、
・改定対応で必要な資料の一覧管理
・登録済み/未登録の可視化
・院内での準備状況の共有
・必要書類や運用根拠の整理
といった運用は、R8診療報酬改定の実務と相性が高い領域です。
R8診療報酬改定は、医療DXの「導入」だけでなく、体制・運用・届出・根拠資料をどう整えるかが問われる改定です。だからこそ、クリニックの院長、事務長、医療従事者には、制度を読むだけでなく、院内の準備状況を管理できる基盤が必要になります。
「必要資料がどこにあるか分からない」
「改定対応の進捗を一覧で把握したい」
「届出や施設基準に向けた証憑整理を進めたい」
そうした課題がある場合は、365メディカルのRegistryのような、証憑管理と準備状況の見える化を支援する仕組みを検討する余地があります。
まとめ
令和8年度診療報酬改定では、医療DXは「導入済みかどうか」だけではなく、診療情報の活用、電子処方箋、オンライン診療、データ提出、施設基準届出などを、実際にどう運用しているかが制度上より明確に問われています。
そのため、これからの改定対応では、院内の運用体制や証憑管理を整理し、必要資料を確認できる状態にしておくことが、クリニック経営においてますます重要になります。
R8診療報酬改定をきっかけに、医療DX対応を「システム導入」で終わらせず、運用を支える証憑管理・体制管理まで見直すことが、実務上の大きなポイントになります。
参考資料
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の基本方針」
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【全体概要版】」
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」
厚生労働省 東海北陸厚生局「令和8年度診療報酬改定に伴う施設基準の届出等について」
免責事項
本記事は、令和8年度診療報酬改定に関する公表資料等に基づき、一般的な情報提供を目的として作成したものです。内容の正確性・最新性の確保に努めていますが、法令、告示、通知、疑義解釈、地方厚生局の運用、個別事情等により取扱いが異なる場合があります。
本記事は、特定の算定可否、届出受理、施設基準適合、監査対応等を保証するものではありません。実際の対応にあたっては、必ず厚生労働省、地方厚生局、関係機関が公表する最新資料をご確認ください。




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