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「スキャナを買え」じゃない、2026歯科改定は“再現性と連携”を買いに来た|歯科技工士連携加算・光学印象 完全解説

  • 執筆者の写真: Yuki
    Yuki
  • 3月20日
  • 読了時間: 7分

カテゴリ:歯科DX / 診療報酬改定 / 歯科技工士連携


「口腔内スキャナ、結局【入れた者勝ち】なんでしょ?」——2026年(令和8年度)歯科診療報酬改定を前に、そう感じている院長が少なくありません。しかし、改定が本当に評価しようとしているのは「機械の有無」ではありません。

政府が点数をつけたのは、補綴の再現性と、歯科医師・歯科技工士の連携が【仕組みとして回っている状態】です。スキャナを買っただけでは加算が取れない。この記事では、改定の本質・点数体系・医院タイプ別の対応戦略・今日から使える運用テンプレを丸ごと解説します。


📌 この記事でわかること:① 2026改定の政策意図 ② 光学印象・歯科技工士連携加算の新点数 ③ 医院タイプ別の収益シナリオ ④ 算定できるか確認するチェックリスト ⑤ カルテ記載テンプレ


1. まず結論:2026改定は「デジタル投資」ではなく「連携インフラ投資」

中医協の資料を読むと、今回の歯科デジタル関連改定の狙いは2点に集約されています。

•       歯科医師と歯科技工士の連携を「さらに推進」し、評価範囲・施設基準を見直す

•       光学印象の精度が良好であることを踏まえ、CAD/CAM冠製作時にも新たな評価を行う


つまり政府のメッセージはこうです。「補綴はチーム医療。連携を仕組みに落とせ。再現性が高い運用に点数をつける。」スキャナそのものより、それを中心に誰が何を確認し、製作にどう活かすかという「連携の仕組み」が評価されます。


2. 点数の変更:光学印象・歯科技工士連携加算の新旧比較

光学印象の点数変化

項目

改定前(R6)

改定後(R8)

変化

光学印象(1歯につき)

100点

150点

+50点

対象範囲

CAD/CAMインレーのみ

CAD/CAM冠にも拡大(方向性)

対象拡大


歯科技工士連携加算の点数設計

加算名

点数

連携方法

ポイント

歯科技工士連携加算1

60点

対面

院内技工または来院による確認

歯科技工士連携加算2

80点

ICT(情報通信機器)

遠隔でもOK。外注技工所との連携も評価対象


⚠️ ⚠️ ICT連携(加算2:80点)が対面(加算1:60点)より20点高い設計は、「院内技工がある医院だけ得をする世界」を政府が意図していない証拠。地域連携・外注でも回る運用を評価する方針です。


3. 医院タイプ別の収益シナリオ:どの医院が最も恩恵を受けるか

「うちの医院は加算が取れるのか?」を判断するために、医院タイプ別に整理します。

医院タイプ

光学印象

連携加算

月間シミュレーション(補綴20件/月)

院内技工あり+スキャナ導入済み

150点

連携加算1:60点

(150+60)×20件=4,200点 → 約42,000円/月

外注技工+スキャナ+ICT連携あり

150点

連携加算2:80点

(150+80)×20件=4,600点 → 約46,000円/月

スキャナあり・連携なし

150点

0点(連携未整備)

150×20件=3,000点のみ → 連携加算分を取り逃がし

スキャナなし(従来印象)

0点

0点

改定メリットなし


📌 ※1点10円換算の概算です。実際の算定は施設基準の届出・患者条件・術式により異なります。


注目すべきは「外注技工+ICT連携」が最も高い点数になる設計です。院内技工がなくても、連携の仕組みさえ整えれば加算2(80点)を取れます。これが今回の改定で最大の恩恵を受けるタイプです。


4. 政府の意図を読む:なぜ「連携」に点数をつけるのか

(1)補綴品質の問題は「技工の腕」ではなく「情報断絶」にある

補綴のトラブル・再製の多くは、情報が足りない発注から生まれます。形成意図・マージンの状態・咬合・色調・軟組織の情報が技工士に届いていない状態で製作が進み、装着後に問題が発覚する。政府は「連携」を点数化することで、この情報断絶を制度レベルで解消しようとしています。

(2)DXは「機器導入」ではなく「運用の標準化」

スキャナがあっても、誰が・何を・いつ確認し・どう製作に反映したかの記録が残らなければ、連携は「雰囲気」で終わります。改定は「記録できる運用」への移行を誘導しています。

(3)歯科技工士の偏在・人材不足への対応

ICTの方が点数が高い理由はここにあります。地理的制約に縛られず、どこの技工所とでも連携できる仕組みを「本流」にする——偏在が進む歯科技工士リソースを、距離の制約から解放する方向に制度が寄っています。


5. 算定できるか今すぐ確認:施設基準チェックリスト

光学印象・歯科技工士連携加算を算定するには、地方厚生局への施設基準届出が必要です。以下を確認してください。


【光学印象】施設基準

□      口腔内スキャナ(デジタル印象取得装置)を院内に設置している

□      歯科補綴等に関する3年以上の経験を有する歯科医師が在籍している

□      地方厚生局へ施設基準の届出を完了している


【歯科技工士連携加算1(対面)】追加要件

□      院内に歯科技工士が在籍、または連携する技工所との対面確認体制がある

□      確認した内容(確認者・確認日時・内容)をカルテに記載している

□      院外技工の場合、連携先の技工所名もカルテに記録している


【歯科技工士連携加算2(ICT)】追加要件

□      情報通信機器(チャット・ビデオ通話・専用システム等)を使った連携体制がある

□      確認の記録(確認者・日時・データ)が電子的に保存・追跡できる状態になっている

□      連携のやり取りが1案件ごとに区別・記録されている


6. 勝ち筋の最小実装:今週から始められる3つの型

① 技工へ渡す「口腔内確認テンプレ」

発注のたびに技工士に伝えるべき情報を定型化します。最低限この5項目を毎回記録してください。

•       マージン:露出状況・圧排の状態

•       咬合:咬頭嵌合・早期接触の疑い・対合歯の注意点

•       隣接面:コンタクト強弱の希望

•       色調:写真(基準スケール付き)+明度・透明感の希望

•       目的:審美優先 / 耐久優先 / 再治療回避 など


② ICT連携は「証跡が残る導線」が命

ツールはチャット・専用システム何でも構いません。重要なのは残り方です。1案件1スレッド(ID付与)で管理し、保存するのは以下の3点だけです。

1.     確認者(歯科医師氏名 / 歯科技工士氏名・所属技工所)

2.     確認日時

3.     確認データ(写真・動画・STLファイル等)


③ カルテ記載の一文テンプレ(そのままコピーして使用可)

【カルテ記載テンプレート】

光学印象実施(CAD/CAM○○)。歯科技工士〔氏名〕(〔技工所名〕)と【対面 / 情報通信機器】にて、マージン・咬合・色調等の口腔内状況を確認。当該修復物の製作に活用した。

※【 】内は使用した連携方法に合わせて記載。院内技工の場合は技工所名不要。


7. よくある質問(FAQ)

Q. スキャナを持っていない医院は今回の改定で損をするのか?

A. 直接的な減点はありませんが、光学印象(150点)・連携加算(最大80点)を取り逃がす機会損失が生じます。スキャナ導入を検討する際は、機器コストより「連携の運用設計」を先に考えることをお勧めします。

Q. LINEやメールでの連携でも加算2は取れるか?

A. 「情報通信機器」の要件を満たせれば算定可能です。ただし「確認者・日時・確認データ」の3点が記録として残ること、カルテへの記載が必須です。ツールそのものより「記録が残るか」が判断基準です。

Q. 施設基準の届出はいつまでに必要か?

A. 令和8年6月の改定施行に合わせた届出が必要です。届出前に算定すると返還が生じる可能性があります。自院の届出状況を確認し、未届の場合は早急に地方厚生局へ申請してください。


8. まとめ:2026改定は「口腔内スキャナの時代」ではなく「連携の時代」

今回の改定を一言で言えば、「補綴を属人性から〔再現性のある運用〕へ転換させる施策です。

•       光学印象:100点→150点(対象はCAD/CAM冠にも拡大へ)

•       歯科技工士連携加算:対面60点 / ICT80点(外注でも算定可能)

•       政策の軸:デジタル投資ではなく「連携が仕組みになっている状態」の評価


もし「スキャナはあるのに、なぜかトラブルと作り直しが減らない」なら、問題は機械ではなく連携の運用設計です。今日からできることは、カルテ記載テンプレの整備と連携記録の仕組みを作ることです。それだけで、加算算定と補綴品質の両方が改善し始めます。


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