医療と介護の「情報の壁」が消える日は近い?
- Yuki

- 3月24日
- 読了時間: 10分

2026年から進むデータ連携の変化を、医療機関・介護現場の視点で整理
高齢化が進む日本では、ひとりの患者さん・利用者さんが、病院、診療所、訪問看護、ケアマネジャー、介護事業所など、複数のサービスをまたいで支援を受けることが当たり前になってきました。
一方で現場では今もなお、
「退院時の情報が介護側へ十分に伝わらない」
「介護現場で把握した変化が医療側へすぐ届かない」
「紙、FAX、電話、手入力が多く、確認の手間が大きい」
といった課題が残っています。
こうした課題に対して、国は今、医療DXの一環として、電子カルテ情報共有サービスと介護情報基盤の整備を進めています。介護情報基盤は、令和8年4月1日以降、標準化対応が完了した市町村から順次開始する方針で、令和10年4月1日までに全市町村で活用開始を目指すとされています。
つまり、2026年以降は、医療と介護の情報共有が“理想論”ではなく、実務として本格化していく局面に入るということです。
なぜ今、医療介護連携のデジタル化が重要なのか
医療と介護の連携は、以前から重要だと言われてきました。
しかし実際には、必要な情報が必要な相手に、必要なタイミングで届かない場面が少なくありません。
たとえば、
病院の診断内容や退院後の注意点が、地域側へ十分に共有されない
ケアマネジャーや介護職が把握している生活変化が、医療機関へつながりにくい
訪問看護指示書や報告書のやり取りが紙やFAX中心で非効率
同じ内容を複数の帳票へ繰り返し転記している
こうした状況では、患者さん・利用者さん本人にも、支える現場にも負担がかかります。
厚生労働省は、介護情報基盤について、自治体・利用者・介護事業所・医療機関等が介護情報等を電子的に閲覧できる基盤として整備を進めていると説明しています。さらに、PMHを活用することで、自治体や医療機関との情報連携や、マイナポータル経由で本人が情報を閲覧することも想定されています。
この流れの本質は、単なるペーパーレスではありません。
医療介護連携を支える情報基盤を整え、切れ目のない支援につなげることです。
いま国が進めている2つの基盤
電子カルテ情報共有サービスと介護情報基盤
このテーマを理解するうえで重要なのが、次の2つです。
まず1つ目が、電子カルテ情報共有サービスです。これは全国医療情報プラットフォームの一環として整備される仕組みで、厚労省は主な内容として、診療情報提供書の共有、健診結果の閲覧、患者の6情報の閲覧、患者サマリーの閲覧を示しています。退院時サマリについては、現時点では診療情報提供書に添付する形で扱う方向です。
2つ目が、介護情報基盤です。こちらは市町村が持つ要介護認定情報、介護事業所の情報、ケアマネジャーが扱う情報などを、一定のルールに基づいて電子的に共有する基盤です。利用者本人、自治体、介護事業所、医療機関との連携が想定されています。
つまり今後は、
医療側は電子カルテ情報共有サービス、
介護側は介護情報基盤、
という2つの土台が整備され、その橋渡しが進んでいく形になります。これが、今後の医療DXにおける大きな変化です。
注目される「5つの重要書類」とは
紹介状・退院時サマリ・訪問看護3文書
医療と介護の情報共有でよく注目されるのが、次の5文書です。
診療情報提供書(紹介状)
退院時サマリ
訪問看護指示書
訪問看護計画書
訪問看護報告書
ここは、SEOの観点でも「紹介状 電子化」「退院時サマリ 共有」「訪問看護指示書 電子化」などの検索意図に合いやすいポイントですが、内容としても非常に重要です。
現時点で、診療情報提供書は電子カルテ情報共有サービスの共有対象として厚労省が明示しています。退院時サマリは添付文書として扱う方向で、比較的具体化が進んでいます。
一方で、訪問看護指示書・訪問看護計画書・訪問看護報告書については、医療機関と訪問看護ステーションの連携において極めて重要な文書である一方、現時点では実装方法や正式な位置付けがなお検討中です。厚労省の検討会では、訪問看護指示書等について、業務効率化の観点から電子的な連携方法を検討していく考えが示されています。
つまり、
診療情報提供書と退院時サマリは具体化が進行中、
訪問看護3文書は優先的な検討対象として前進中、
という理解が正確です。
なぜ訪問看護指示書・計画書・報告書が重要なのか
365メディカルとして特に注目したいのが、訪問看護に関する3文書です。
訪問看護指示書
訪問看護計画書
訪問看護報告書
これらは、在宅医療と介護の接点にある“実務の中心”です。
医師が指示を出し、訪問看護側が計画を立て、実施内容や状態変化を報告する。
この流れがスムーズであるかどうかは、在宅療養の質と安全性に大きく関わります。
厚労省の検討会資料でも、看護に関する情報は同一内容を複数回記載していることが多く、二重入力や現場負担の課題があることが示されています。そのうえで、情報の標準化によって二重入力を極小化し、多職種連携の中で必要な情報の標準化を進めるべきだと整理されています。
このため、訪問看護文書の標準化・電子化が進めば、
転記ミスの防止
情報到達のスピード向上
二重入力の削減
医療機関と介護事業所双方の業務負担軽減
といった効果が期待できます。
特に、退院直後、急変時、在宅移行初期など、医療介護連携のスピードが求められる場面では、影響が大きい領域です。
2026年からのタイムライン
いつ何が始まるのか
現時点で押さえておきたいスケジュールは次の通りです。
介護情報基盤については、厚労省が、令和8年4月1日以降、標準化対応が完了した市町村から順次、介護情報基盤経由での情報共有を開始すると明示しています。また、令和10年4月1日までに全市町村での活用開始を目指すとされています。
電子カルテ情報共有サービスについては、厚労省の概要案内で、令和8年度冬頃より運用開始を目標に検討を進めているとされています。さらに検討資料では、モデル事業で確認された課題への対応後、臨床現場で支障なく運用可能な文書・情報から、令和8年度の冬頃をメドに全国で利用可能な状態にすることを目指すと整理されています。
また、2026年夏までに、電子カルテや電子カルテ情報共有サービスの具体的な普及計画を策定する予定とも示されています。
つまり、2026年は「すべてが完成する年」というより、
介護情報基盤が順次立ち上がり、電子カルテ情報共有サービスの全国運用が具体化し、医療DXが現場実装フェーズへ移る年
と捉えるのが適切です。
現場の課題は「システム導入」だけではない
セキュリティ、運用、コスト、使いやすさ
このテーマでは、つい「どんなシステムになるのか」に目が向きがちです。
しかし現場で本当に重要なのは、使える運用になるかどうかです。
とくに課題になりやすいのが、医療機関と介護事業所の間にあるIT環境やセキュリティ体制の差です。介護情報基盤は医療機関や自治体との連携を前提にしつつも、実際の利用現場は多様です。標準化やセキュリティを求める一方で、現場負担が過大になれば定着しにくくなります。
また、本人同意の設計も重要です。介護情報基盤では、利用者本人の情報を誰がどの範囲で閲覧できるかに関して、同意取得や情報管理の仕組みが中核になります。本人にとって分かりやすく、現場でも運用しやすい仕組みでなければ、実効性は高まりません。
このため、今後のキーワードは、
医療DX 導入だけでなく、
情報共有 運用設計、
文書管理の見える化、
セキュリティと現場負担の両立
になっていくはずです。
これは単なる効率化ではなく、多職種連携の「軸」になる
医療と介護の情報共有は、単に「FAXが減る」「紙が減る」という話ではありません。
本質は、多職種連携の質を高めることにあります。
医師、看護師、ケアマネジャー、介護職、リハ職など、複数の専門職が同じ患者さん・利用者さんを支える時代において、情報が分断されたままでは、本当の意味でのチームケアは実現しにくくなります。
共通の情報基盤が整えば、
退院支援がよりスムーズになる
在宅での状態変化を医療側へ戻しやすくなる
各職種が自分の役割を全体の中で捉えやすくなる
本人・家族への説明にも一貫性が生まれやすくなる
といった変化が期待できます。
これは、地域包括ケアシステムの実効性を高めるうえでも重要です。介護情報の電子的共有の検討資料でも、データ共有を通じた多職種連携強化が目的の一つとして示されています。
医療機関・介護事業所が今から備えておきたいこと
2026年になってから慌てて動くのではなく、今のうちに準備しておくことが重要です。
まず必要なのは、自院・自事業所で扱っている文書の棚卸しです。
紹介状、退院時サマリ、訪問看護指示書、訪問看護報告書、各種計画書、研修記録、院内マニュアルなどが、誰の管理で、どこに保存され、どのように共有されているのかを見える化しておくことが出発点になります。
次に重要なのは、同意、アクセス権限、更新ルールの整理です。
今後は単に文書を保存するだけでなく、誰が、どの情報を、どのタイミングで確認できるのかが問われる時代になります。これは、監査対応、認証対応、医療安全、個人情報保護の観点からも重要です。
そしてもう一つ大切なのが、ベンダー任せにしないことです。
電子カルテ情報共有サービスや介護情報基盤が整っても、現場の文書運用がバラバラでは、十分に活用できません。
必要なのは、**情報共有の前提となる“整理された文書管理”**です。
365メディカルが考える、これからの情報連携支援
2026年以降、医療DXや医療介護連携は、単なるシステム導入の話ではなく、現場で必要な文書や証憑を、いかに整理し、見える化し、共有しやすい状態にしておくかがますます重要になっていきます。
制度が変わっても、現場で必要な文書が整理されていなければ、スムーズな運用にはつながりません。
また、どの書類が整備済みで、どこに保存され、誰が確認できるのかが見えにくい状態では、地域連携、監査対応、運用改善にも時間がかかります。
365メディカルでは、こうした医療機関・介護事業所の課題に対して、証憑や文書の一覧管理・可視化・運用整理を支援する仕組みづくりを通じて、情報連携の土台づくりをサポートしています。
たとえば、
必要書類の一覧化
未整備書類の見える化
更新状況の把握
部署横断での文書確認
制度対応や認証対応に向けた準備状況の可視化
といった観点は、これからの医療情報共有や介護情報共有の時代に、ますます重要になります。
これから求められるのは、「情報を持っていること」ではなく、
必要な情報を、必要なときに活用できる状態にしておくことです。
365メディカルは、365Registryなどを通じて、情報管理の見える化、文書整備の効率化、制度対応の下支えを実務面から支援しています。
電子カルテ情報共有サービスや介護情報基盤の時代に向けて、まずは院内・事業所内の情報整理から。
情報管理の見える化や365Registryにご関心のある方は、ぜひ365メディカルへご相談ください。
本記事は、医療DX、電子カルテ情報共有サービス、介護情報基盤、医療介護連携等に関する公開情報をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。内容の正確性・最新性の確保に努めていますが、制度改正、通知、ガイドライン、自治体運用、個別のシステム仕様等により、最新情報や実際の運用が異なる場合があります。
本記事は、法令・行政通知・診療報酬・介護報酬・個別事案に関する正式な助言、判断、保証を行うものではありません。実際の導入、運用、申請、届出、システム対応、個人情報保護、安全管理措置等については、必ず厚生労働省・関係省庁・自治体・ベンダー等の最新資料をご確認のうえ、必要に応じて専門家へご相談ください。
なお、本記事中に記載した見解や整理は執筆時点の情報に基づくものであり、将来の制度確定内容や運用を保証するものではありません。




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