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第2回連携加算は“仲良し加点”じゃない:対面60点/ICT80点の狙いと、算定がブレない運用設計

  • 執筆者の写真: Yuki
    Yuki
  • 2月22日
  • 読了時間: 6分
ゆきです〜
ゆきです〜

第1回では、光学印象(口腔内スキャナ)の評価が「スキャン行為の評価ではなく、補綴工程の安定(再現性)を買いに来ている」という話をしました。

そして2026改定で、もう一段“政府の趣き”が濃く出るのがここ。

歯科技工士連携加算です。

数字だけ見ると、こう整理されています。


  • 歯科技工士連携加算1(対面):60点

  • 歯科技工士連携加算2(情報通信機器:ICT):80点


しかも象徴的なのは、対面よりICTのほうが評価が厚い点です。(mhlw.go.jp)

これ、単なる「オンライン推奨」ではありません。

政府は診療報酬で、もっとはっきりした未来を作りに来ています。



1. なぜICTのほうが高いのか?— 政策意図は「偏在と不足」を前提にしている


現場の感覚だと、「対面のほうが丁寧で質が高いはず」と思いますよね。

なのに制度はICTのほうが高い。

ここに政府の本音があります。

院内技工がある医院だけが得をする制度にはしない。

技工士が不足し、偏在が進む未来でも、距離に縛られず連携が成立する設計へ誘導する。

つまり、“連携を仕組みにする”ことが目的

対面の良し悪しではなく、連携が「標準運用」として回ることを評価しています。

この方向性は、中医協の議論整理でも「歯科医師と歯科技工士の連携を更に推進」「評価範囲・施設基準の見直し」として明示されています。(mhlw.go.jp)



2. 連携加算の“肝”は、「連携した」ではなく「何を確認して、製作にどう活かしたか」

ここで最初に言っておきたいのは、連携加算は“仲良し加点”ではない、ということです。

現場でありがちな失敗がこれ。


  • 「技工士とやり取りしました」→ でも内容が残っていない

  • 「写真送ってます」→ でも何を確認したかが曖昧

  • 「確認しました」→ でも製作に活用した根拠がカルテにない


制度が評価したいのは、雑に言うとこれです。

補綴のブレ(再製・調整地獄)を生む“情報断絶”を潰したか?

だから、算定が安定する医院は、必ずここを押さえています。

連携で“確認すべき情報”は、だいたい5点に収束します


  1. マージン(形成意図・露出状態)

  2. 咬合(咬合採得の条件、接触点の考え方)

  3. 色調(写真・スケール・希望)

  4. 軟組織(歯肉ライン、ブラックトライアングル等の見え方)

  5. 設計意図(コンタクト強弱、形態の優先順位、審美/耐久の方針)


これらが欠けると、技工所は「推測」で作るしかない。

推測は、再製・再調整の温床です。



3. “対象になる連携/ならない連携”の境界線(超重要)


連携加算がブレる医院は、ここが曖昧です。

境界線はシンプルで、こう考えると事故りにくい。

対象になる連携(制度が買いたい連携)

  • 口腔内状況を確認した(対面orICT)

  • その確認内容を製作に活用した(指示・設計に反映)

  • その事実が記録として残る(カルテ・ログ・添付など)

対象になりにくい連携(よくある“やったつもり”)

  • 単なる納期調整、配送連絡

  • 「いつも通りでお願いします」のやり取り

  • 写真送付のみで、何を確認したか・反映したかが不明

  • 口腔内確認の証拠(日時・確認者・確認内容)が残らない

制度上は「口腔内の確認等を行い、製作に活用」という考え方が中心にあり、注記でも連携加算が整理されています。(mhlw.go.jp)



4. 算定が安定する医院は、必ず「最小要件」を固定している

連携加算は、頑張り方がズレると“運用コストだけ増えて点数が不安定”になりがちです。

逆に、上手い医院は「残すべきもの」を最小化します。

連携の最小要件:これだけ残せば強い

  • 誰が(歯科医師・歯科技工士)

  • いつ(日時)

  • 何を確認したか(マージン/咬合/色調など)

  • どう活用したか(指示書の追記・設計方針の合意)

ツールは何でもいいです。

LINEでも、チャットでも、メールでも、専用システムでも。

大事なのは「後から追える形で残る」こと。

“ちゃんと連携した”は、主観。

“追えるログ”は、客観。

制度は客観を好みます。



5. 連携加算を「運用として」取りにいく:予約〜装着までの設計図

ここから実務です。

連携加算をブレずに取れる医院は、工程のどこかで“連携が発生するスイッチ”を固定しています。

おすすめは、次のどちらか(または両方)。


パターンA:形成〜光学印象の直後に「技工確認」を入れる

  • 形成・圧排・スキャン完了

  • 口腔内写真(色調含む)をセット

  • 技工側が“設計に必要な点”を確認

  • 不足があれば、その場で撮り直し/部分再スキャン

狙い:差し戻しを先に潰す(時間コストが最小)


パターンB:試適(または仮歯段階)で「最終意図」を合意する

  • 形態・色調の方向性

  • コンタクト・咬合の優先順位

  • 仕上げ基準(艶、透明感など)

狙い:完成後の“好み違い”による再製を減らす

どちらも、制度が買いたいのは「口腔内確認を製作に活かした」こと。(mhlw.go.jp)



6. そのまま使える:カルテ記載の一文テンプレ(対面/ICT両対応)

算定が不安定な最大の理由は、記録が弱いことです。

ここは“文章の型”で解決できます。

コピペ用テンプレ(推奨)

「歯科技工士と(対面/情報通信機器)にて口腔内の確認等を行い、マージン・咬合・色調等について情報共有の上、当該修復物/補綴物の製作に活用した。」

この1文に、次の3点が入ります。

  • 連携手段(対面orICT)

  • 口腔内確認の中身(マージン・咬合・色調など)

  • 製作に活用した事実

これで、点検での説明力が上がります。



7. よくある事故3つと対策(ここを潰すと“回る”)

最後に、連携加算で現場が詰まりやすい“事故ポイント”を置きます。

事故①:写真は送ったが「何を確認したか」が残らない

対策:チェックボックス化

「マージン/咬合/色調/軟組織/設計意図」のうち、確認した項目に✅を付けるだけでログが強くなる。

事故②:やり取りが散逸して、後から追えない

対策:1案件=1スレッド

次回(第3回)で詳述しますが、ICT連携は“散逸”が最大の敵。案件IDで一本化が最短です。

事故③:技工側の確認基準が曖昧で、差し戻しが増える

対策:差し戻し基準を明文化

「マージン不明確」「連結部欠損」「対合不足」など、差し戻しの条件を決めるだけで無駄な往復が激減します。



まとめ:2026改定の連携加算は「連携を“標準運用”にせよ」というメッセージ

対面60点/ICT80点という設計は、

「オンラインが偉い」ではなく、距離と人材不足を前提に、連携が仕組みとして回る体制を作れという誘導です。(mhlw.go.jp)

そして、連携加算で本当に重要なのは、

  • 何を確認したか

  • どう製作に活かしたか

  • それが記録として追えるか この3点。

連携は“頑張る”ものではなく、“設計する”ものです。



次回予告(第3回)

次回は、連携加算(特にICT80点)を事故らず回す現実解として、

「1案件1ID」テンプレを丸ごと出します。

  • 案件IDの付け方

  • 共有すべき写真・動画・STL・指示書の標準セット

  • 技工側の確認プロトコル(差し戻し基準)

  • カルテ記載+ログの残し方

  • ありがちな失敗パターンと回避策

“保存版”にするので、院内導入にも、技工所との合意形成にも使える形にします。


※本記事に記載している制度・法令に関する内容は、一般社団法人365メディカルが公開情報や資料をもとに整理した参考情報です。

当法人は法務・労務の専門家ではなく、本記事は特定の法的解釈や実務対応を保証するものではありません。


実際の対応や判断にあたっては、最新の法令・公式資料をご確認のうえ、社会保険労務士・弁護士などの専門家へご相談ください。

本記事は、「制度をどう理解すれば現場で考えやすくなるか」という観点からまとめたものであり、実務検討のヒントとしてご活用いただければ幸いです。

 
 
 

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