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CAD/CAM冠にも光学印象が拡大

  • 執筆者の写真: Yuki
    Yuki
  • 7 日前
  • 読了時間: 11分


歯科医院が今から準備すべき令和8年度診療報酬改定対応


令和8年度診療報酬改定で、歯科医院が注目すべき変更の一つが、口腔内スキャナなどを使用する「光学印象」の対象拡大です。

これまで光学印象は、主にCAD/CAMインレーを製作する場合に活用されてきました。今回の改定では、新たにCAD/CAM冠が対象に加わり、光学印象の評価も100点から150点へ引き上げられる内容が示されています。(⁠厚生労働省)

この変更は、単に対象となる補綴物が増えたという話ではありません。

保険診療における補綴治療が、印象材や石膏模型を中心とした運用から、口腔内スキャンデータを中心とする運用へ移行していく、大きな転換点と考えられます。

今後、歯科医院に求められるのは、口腔内スキャナを購入することだけではありません。

どの症例に使用するのか、誰が操作するのか、取得したデータをどのように確認するのか、歯科技工所へどのように送信するのか、再スキャンや再製作が発生した場合にどのような記録を残すのか。

こうした診療・技工・事務の流れを、院内の標準業務として整える必要があります。

令和8年度改定への対応を、単なる診療報酬上の変更として捉えるか、歯科医院全体のデジタル化を進める機会として捉えるかによって、数年後の業務効率や経営体質には大きな差が生まれる可能性があります。


CAD/CAM冠の位置づけが変わる


CAD/CAM冠は、すでに多くの歯科医院で保険診療における重要な補綴治療の選択肢となっています。

これまでの光学印象は、主にCAD/CAMインレーを対象としていましたが、令和8年度改定ではCAD/CAM冠にも対象が広がります。

つまり、インレー修復だけではなく、冠補綴においても口腔内スキャナを活用する機会が増えることになります。

厚生労働省の改定資料では、光学印象についてCAD/CAM冠を新たに対象とし、評価を引き上げることが明記されています。また、歯科治療のデジタル化を推進する観点から、CAD/CAM冠や光学印象の活用拡大が改定の方向性として整理されています。(⁠厚生労働省)

患者さんにとっては、従来の印象材を使った型取り以外の選択肢が増えることを意味します。

印象材による型取りは、歯科治療に必要な工程である一方、患者さんによっては、嘔吐反射、息苦しさ、印象材の味やにおい、硬化するまで口を開け続ける負担を感じる場合があります。

口腔内スキャナを用いた光学印象では、口腔内の形状を小型カメラなどで読み取り、デジタルデータとして取得します。

適応症例では、従来の印象採得よりも患者さんの負担を軽減できる可能性があります。また、取得した口腔内データをモニターに表示しながら、形成部位や咬合状態、補綴物の設計について説明できる点も、患者体験の向上につながります。

一方で、すべての症例で光学印象が適しているわけではありません。

歯肉縁下の形成、出血や唾液、マージンの視認性、開口量、欠損範囲などによっては、従来の印象採得が適しているケースもあります。

重要なのは、「デジタルだから常に優れている」と考えることではなく、症例ごとに適応を判断し、従来法と使い分けることです。


準備すべきことは、口腔内スキャナの機種選びだけではない


口腔内スキャナの導入を検討するとき、多くの歯科医院が最初に比較するのは、機器の価格、読み取り精度、スキャン速度、画質、対応データ形式、ソフトウェア利用料、保守費用です。

これらは重要な検討項目です。

しかし、令和8年度改定への対応として本当に重要なのは、機器そのものよりも、口腔内スキャナを診療の中でどう運用するかです。

たとえば、次のような事項を事前に決めておく必要があります。

・どの補綴症例で光学印象を使用するのか・誰が口腔内スキャンを行うのか・スキャンデータの不足や歪みを誰が確認するのか・どの状態であれば技工所へ送信してよいのか・再スキャンが必要な場合の判断基準をどうするのか・シェード情報や写真をどのように共有するのか・技工指示書とスキャンデータをどのように紐づけるのか・診療録に何を記録するのか・再製作が発生した場合に原因と対応履歴をどう残すのか

これらが曖昧なまま機器を導入すると、院内で運用が統一されません。

院長だけが操作できる状態になったり、スタッフごとにスキャン方法が違ったり、忙しい日は従来の印象採得に戻ってしまったりすることがあります。

結果として、高額な機器を購入したにもかかわらず、使用頻度が上がらないという状況が生じます。

口腔内スキャナは、設置しただけで業務を効率化する機器ではありません。

形成、圧排、止血、乾燥、スキャン、データ確認、技工指示、送信、診療録記載までを一つの診療フローとして設計して初めて、医院の業務改善につながります。


スタッフ教育と症例選定が定着の鍵になる


デジタル印象は、機械を置けばすぐに誰でも同じ結果を出せるものではありません。

口腔内スキャンでは、スキャンパス、口腔内の乾燥、軟組織の排除、マージンの視認性、咬合採得、データ欠損の確認など、臨床現場での習熟が必要です。

特に導入初期は、比較的条件の良い症例から始めることが重要です。

最初から難易度の高い症例や、出血・唾液のコントロールが難しい症例に使用すると、再スキャンが増え、スタッフが「従来の型取りの方が早い」と感じてしまう可能性があります。

まずは、マージンが確認しやすく、開口量が確保でき、口腔内の乾燥を維持しやすい症例から始めます。

そのうえで、次の項目を院内で振り返ります。

・スキャンにかかった時間・データ欠損が生じた部位・再スキャンが必要になった原因・技工所から修正を求められた内容・完成した補綴物の適合状態・患者さんの反応・スタッフが操作しにくかった工程

こうした振り返りを続けることで、医院独自のスキャン基準を作ることができます。

重要なのは、スタッフ全員が「この状態なら送信してよい」「この状態なら再スキャンが必要」と判断できることです。

判断基準が共有されれば、操作できる人が増え、口腔内スキャナは一部の担当者だけが使う機器ではなく、医院の標準業務として定着しやすくなります。


歯科技工所との事前合意が不可欠


CAD/CAM冠に光学印象を活用するには、歯科技工所との連携が欠かせません。

口腔内スキャナで取得したデータが良好でも、技工所側がそのデータ形式に対応していなければ、円滑に補綴物を製作できません。

導入前には、少なくとも次の事項を歯科技工所と確認しておく必要があります。

・受け取ることができるデータ形式・データの送信方法・症例名や患者情報の識別方法・シェード情報や口腔内写真の共有方法・咬合情報の確認方法・技工指示書の記載方法・納期の確認方法・再スキャンが必要な場合の連絡方法・再製作時の費用負担と対応手順・変更履歴や確認履歴の保存方法

令和8年度改定では、歯科医師と歯科技工士の連携や、歯科治療のデジタル化の推進も重視されています。厚生労働省の資料でも、光学印象やCAD/CAM冠の対象拡大に加え、歯科技工士との連携を評価する方向性が示されています。(⁠厚生労働省)

今後は、スキャンデータを送るだけではなく、歯科医院と歯科技工所が必要な情報を、記録が残る形で共有することが重要になります。


スキャンデータだけをデジタル化しても、業務は効率化しない


口腔内スキャナを導入すると、印象採得の工程はデジタル化されます。

しかし、その後の技工依頼が電話、紙、メール、チャットなどに分散したままでは、医院と技工所の間で発生する確認作業は減りません。

よくあるのは、次のような状態です。

・最新の技工指示がどれか分からない・電話で変更した内容が記録されていない・口腔内写真と技工指示書の対応関係が分からない・誰が、いつ、納期を変更したのか確認できない・技工物が現在どの工程にあるのか分からない・再製作の原因を振り返ることができない・納品書や請求書が紙とデータに分散している

これでは、印象採得だけがデジタルになり、その後の業務は従来と変わりません。

本当の意味で歯科診療をデジタル化するためには、発注、技工指示、写真、進捗、納期、納品書、請求書、変更履歴までを一つの流れとして管理する必要があります。


365-Connectで技工連携を「見える化」する


365メディカルが提供する「365-Connect」は、歯科医院と歯科技工所の発注、技工指示、進捗、書類、履歴を一元的に管理する技工連携支援サービスです。

スキャンデータそのものだけでなく、技工に必要な情報を整理し、誰が、いつ、何を指示したのかを確認できる状態を作ります。

これにより、次のような運用改善が期待できます。

・技工指示の最新版を確認しやすくなる・補足事項や変更内容を履歴として残せる・技工物の進捗状況を確認しやすくなる・写真、指示書、書類を一つの症例単位で管理できる・納品書や請求書の管理を効率化できる・再製作時に過去の指示や変更内容を振り返ることができる

CAD/CAM冠への光学印象を始める歯科医院ほど、口腔内スキャナ単体ではなく、技工所との連携基盤まで含めて整えることが重要です。

口腔内スキャナで印象をデータ化し、365-Connectで技工指示や進捗を管理する。

この二つを組み合わせることで、診療、技工、事務を含めた業務全体のデジタル化につながります。


いきなり購入せず、レンタルで診療フローを確認する


口腔内スキャナは高額な設備です。

本体価格だけでなく、ソフトウェア利用料、保守契約、周辺機器、院内ネットワーク、スタッフ教育などの費用が発生する場合があります。

そのため、最初から購入するのではなく、一定期間レンタルし、自院の診療フローに適合するかを確認する方法が現実的です。

デモンストレーションでは、基本的な操作性や画質は確認できます。

しかし、次のような点は、実際の診療で使わなければ判断できません。

・通常の予約時間内でスキャンできるか・自院の患者層や症例に適しているか・スタッフが一定期間で操作を習得できるか・技工所とのデータ連携が円滑に行えるか・月に何症例で使用できるか・従来法と比べて作業時間や材料費を削減できるか・保守費用を含めても投資効果が見込めるか

365メディカルの口腔内スキャナレンタルサービスでは、初期投資を抑えながら、実際の診療現場で口腔内スキャナを試すことができます。

レンタル期間中にスキャン時間、再スキャン率、患者さんの反応、技工所からの修正依頼、スタッフの習熟度などを記録すれば、感覚ではなく数値をもとに購入判断を行えます。


令和8年度改定を医院改革のきっかけにする


CAD/CAM冠への光学印象拡大は、歯科医院にとって単なる算定項目の変更ではありません。

患者さんの型取り負担を軽減し、補綴治療の工程を標準化し、技工所との連携を見直し、院内業務をデジタル化するきっかけになります。

一方で、口腔内スキャナを購入するだけでは、こうした効果は生まれません。

必要なのは、次の三つを一体で整えることです。

1.口腔内スキャナという機器2.スタッフが継続的に運用できる院内体制3.歯科技工所と情報を共有する連携基盤

365メディカルでは、口腔内スキャナのレンタル導入と、歯科医院・歯科技工所間の情報を一元化する365-Connectを組み合わせ、令和8年度改定対応を支援しています。

・自院でどの程度の症例に使えるのか知りたい・購入前に実際の診療で試したい・スタッフ教育や院内フローを整理したい・技工所との連携方法を見直したい・光学印象の導入を医院全体のDXにつなげたい

このような課題がある歯科医院は、機器を購入する前に、自院の現在の診療フローと技工連携の状況を整理することから始めてください。

令和8年度改定への対応を、単なる制度対応で終わらせず、患者体験と医院経営を改善する機会へ変えていくことが重要です。


口腔内スキャナの導入・レンタル相談

歯科医院と歯科技工所をつなぐ365-Connect

引用・参考資料

・厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671913.pdf

・厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【全体概要版】」https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001685766.pdf

・一般社団法人365メディカル「口腔内スキャナレンタルサービス」https://www.365medical.or.jp/ios-rental

・一般社団法人365メディカル「365-Connect」https://www.365medical.or.jp/app-landing-page


用語集

口腔内スキャナ

小型カメラなどを使用して口腔内の形状を読み取り、デジタルデータとして取得する装置です。診療報酬関連資料では、デジタル印象採得装置と表現される場合があります。

光学印象

印象材ではなく、口腔内スキャナなどを用いて歯や口腔内の形状をデジタルデータとして取得する方法です。

CAD/CAM冠

コンピュータ支援設計・製造技術を用いて製作される歯冠補綴物です。保険適用の範囲や算定要件は、診療報酬制度で定められています。

CAD/CAMインレー

コンピュータ支援設計・製造技術を用いて製作されるインレー修復物です。

歯科技工士連携

歯科医師と歯科技工士が、補綴物の製作に必要な口腔内情報、色調、形態、技工指示などを共有しながら連携することです。

365-Connect

365メディカルが提供する、歯科医院と歯科技工所の発注、技工指示、進捗、書類、履歴などをデジタルで管理する技工連携支援サービスです。


免責事項

本記事は、令和8年度診療報酬改定に関する公開資料をもとに、歯科医院向けの一般的な情報提供を目的として作成しています。

個別症例における光学印象の適応、診療報酬の算定可否、施設基準、届出、診療録への記載、患者説明、歯科技工所との連携方法などについては、最新の告示、通知、疑義解釈、地方厚生局および審査支払機関の取扱いをご確認ください。

本記事は、診療報酬請求、法務、税務、医療広告または医療上の個別判断を代替するものではありません。

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