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令和8年4月施行「改正医療法」でオンライン診療はどう変わる?5つの重要ポイントを徹底解説

  • 執筆者の写真: Yuki
    Yuki
  • 3 日前
  • 読了時間: 8分

公開日:2026年6月16日


令和8年(2026年)4月1日、改正医療法が施行されました。この改正により、オンライン診療はこれまでの「例外的な運用」から、法律に明文化された「正式な制度」へと大きく転換しました。

医療機関の関係者はもちろん、オンライン診療に関わるビジネスを検討している事業者にとっても、今回の改正は見逃せない重要な変化です。本記事では、改正の核心である5つの重要ポイントをわかりやすく解説します。


そもそも「オンライン診療の法制化」とは何か?


改正内容に入る前に、まず「法制化」という言葉の意味を整理しておきましょう。

「法制化」とは「合法化」ではありません。オンライン診療はこれまでも違法ではありませんでした。では何が変わったのか——それは根拠となるルールの「格」が上がったということです。


改正前:指針(ガイドライン)による運用


これまでオンライン診療は、厚生労働省が策定した「指針(ガイドライン)」に基づいて実施されてきました。指針はあくまで行政指導のレベルであり、法的拘束力を持つものではありませんでした。

そのため、仮に医療機関が指針に違反していたとしても、行政が強制的な是正を命じることは事実上困難でした。


改正後:省令として法的拘束力を持つ


今回の改正により、オンライン診療は医療法上に明確に定義・制度化されました。これまでの指針の内容は「オンライン診療基準」として省令へ格上げされ、法的拘束力を持つ正式なルールになりました。

省令に格上げされたことで何が変わるかというと、違反に対して行政が是正命令・業務停止・施設の閉鎖命令を下せるようになったのです。さらに、届出義務に違反した者や是正命令に従わない者には、罰金(20万円以下等)や拘禁刑といった刑事罰も適用される場合があります。

つまり、「法制化」とは「ルールの実効性が格段に高まった」ことを意味します。



ポイント①「オンライン診療受診施設」の創設


今回の改正で最も注目すべき変化のひとつが、「オンライン診療受診施設」という新たな施設区分の創設です。

改正前の課題:設置ハードルが高すぎた

これまで、不特定多数の人を対象にオンライン診療を受けさせる場所を設ける場合、原則として診療所としての開設許可が必要でした。診療所の開設には医師の常駐などの要件が伴うため、医療機関以外の事業者が気軽に設置できるものではありませんでした。

改正後:届出のみで設置可能に

改正後は、「オンライン診療受診施設」として登録することで、診療所の開設許可を得ることなく、届出のみで設置できるようになりました。

設置場所の例として挙げられているのは、公民館・郵便局・駅ナカ・商業施設・介護施設など、日常生活に密着した場所です。交通の便が良い場所や、高齢者が日常的に訪れる施設にオンライン診療の窓口が設けられることで、医療へのアクセスが大幅に向上することが期待されています。


環境基準(必須要件)


ただし、受診施設を設置するには以下の要件を満たす必要があります。

  • 清潔で安全な空間であること

  • 外部から隔離された、プライバシーが保たれる空間であること(診察内容が他者に聞こえない等)

  • 適切な情報セキュリティ措置が講じられていること

オープンスペースや雑然とした環境では認められません。プライバシーと安全性が確保されたブース型の空間が基本となります。


D to P with N(看護師同席)の活用


受診施設に看護師が同席するかたち(D to P with N)では、医師の指示のもとで採血・注射・エコー検査等の処置も可能になります。これにより、単なる「診察だけ」ではなく、より質の高い医療の提供が実現します。ただし、医療廃棄物の処理など関連する遵守事項には十分な注意が必要です。


ポイント②民間企業(株式会社)も設置・運営が可能


受診施設の設置に関して、特に事業者として注目したいのが設置主体の幅広さです。

法律上、設置者に医療従事者であることなどの要件は設けられていません。具体的には以下の主体が設置・運営可能です。

  • 個人

  • 自治体(都道府県・市区町村)

  • 一般社団法人・NPO法人など

  • 株式会社などの営利法人

営利法人の参入が認められたことは、民間企業による多様なサービス展開を可能にするものであり、医療×ビジネスの新しい領域が生まれる契機にもなります。

重要な例外:保険薬局内への設置は原則禁止

ただし、注意が必要な例外があります。保険薬局の内部への設置は原則として禁止されています。これは、医薬分業の観点や、特定の薬局への患者誘導を防止するためです。離島やへき地などの一部例外はありますが、基本的には薬局内への設置はできないと理解しておきましょう。


役割分担を明確に


施設を設置・運営する事業者は「場所を提供する」役割に徹することが重要です。診療行為そのものは、連携する医療機関の医師が実施し、責任を負います。

また、オンライン診療を行う医療機関の管理者には、利用する受診施設が清潔・安全でプライバシーが確保されているかを自ら確認する義務があります。施設側と医療機関側が互いに連携し、責任の所在を明確にしたうえで運営することが求められます。


ポイント③届出義務の詳細


「届出のみで設置できる」と聞くと手軽に感じるかもしれませんが、届出は義務であり、怠ると罰則の対象になります。


医療機関の届出

勤務する医師等がオンライン診療を行う場合、既存の開設届の事項に追加して都道府県知事等への届出が必要です。


受診施設の届出

受診施設の設置者は、設置後10日以内に以下の情報を届け出なければなりません。

  • 設置場所

  • 建物の構造・平面図

  • 運営責任者の情報

  • その他必要事項


経過措置:既存医療機関は2027年3月末まで猶予

2026年4月1日時点ですでにオンライン診療を実施している医療機関については、事務負担への配慮から、2027年3月末まで届出が猶予されます。ただし、この猶予はあくまで既存の医療機関に限ったものです。新たに参入する施設や事業者には猶予はありませんので、注意が必要です。


ポイント④大幅に強化された監督・罰則


法制化に伴い、不適切な運営に対する行政の対応力が格段に強化されました。


是正命令と立入検査

省令であるオンライン診療基準に違反した場合、都道府県知事等は以下の措置を取ることができます。

  • 是正命令(問題のある運営の是正を命じる)

  • 業務停止命令

  • 施設の閉鎖命令

また、受診施設に対しても報告の徴収立入検査が随時実施されます。「届出しているから大丈夫」ではなく、設置後も継続的に基準を満たしているかが問われます。


罰則の具体例

違反内容

罰則

届出義務に違反

罰金(20万円以下等)

是正命令に従わない

拘禁刑(懲役刑)

悪質な違反

刑事罰の適用


広告規制にも注意

オンライン診療や受診施設に関する広告にも、医療広告規制が適用されます。特に重要なのが、施設が「医療を提供するものではない」旨を明示する義務です。

受診施設はあくまで「場所の提供」であり、医療機関ではありません。その点を広告や表示

に明確に示さなければなりません。誤解を招く表現や誇大広告は厳しく規制されます。


改正の全体像:一目でわかる比較表

項目

改正前

改正後

根拠

厚労省指針(行政指導)

省令(法的拘束力あり)

監督

事実上困難

是正命令・立入検査が可能

罰則

なし

罰金・拘禁刑

施設設置

診療所開設許可が必要

届出のみで設置可能

設置主体

医療機関が中心

株式会社等の営利法人も可

広告

規制が曖昧

医療広告規制が明確に適用


対応チェックリスト:今すぐ確認すべき5項目

最後に、医療機関や事業者が今回の改正に対応するうえで確認すべきポイントをまとめます。

✅ ① 法制化の意味を正しく理解する オンライン診療基準は「省令」として法的拘束力を持ちます。これまでの「指針に従えばOK」という感覚から切り替え、省令遵守を前提とした運用体制を整えましょう。

✅ ② 届出の期限と手続きを確認する 新たに受診施設を設置する場合は設置後10日以内に届出。既存の医療機関は2027年3月末までに届出を完了させる必要があります。都道府県の窓口に早めに相談することをお勧めします。

✅ ③ 設置者・運営主体の役割を明確にする 株式会社等も参入可能ですが、「場所の提供」と「診療行為」は明確に分離する必要があります。連携する医療機関との契約・責任分担を整理しておきましょう。保険薬局内への設置は原則禁止である点も忘れずに。

✅ ④ 施設の環境基準を満たしているか確認する プライバシー保護・清潔・安全・情報セキュリティの4点が必須要件です。既存の施設をオンライン診療受診施設として転用する場合も、これらの基準を満たしているか慎重に確認しましょう。

✅ ⑤ 広告・表示内容を見直す 施設が「医療を提供するものではない」旨の明示が求められます。ウェブサイト、看板、チラシ等の広告表示が医療広告規制に準拠しているか、専門家を交えて点検することをお勧めします。


まとめ

令和8年4月の改正医療法は、オンライン診療を「例外的な措置」から「社会インフラの一部」へと昇格させる、歴史的な転換点といえます。

医療へのアクセスを改善し、地方や高齢者が医療を受けやすくする可能性を秘めている一方で、法的拘束力の強化により、ルールを守らない場合のリスクも格段に高まっています。

参入を検討している事業者や、すでにオンライン診療を実施している医療機関は、ぜひ本記事のチェックリストを参考に、早めの対応を進めてください。

本記事は公開時点の情報に基づいています。法令の解釈や手続きの詳細については、都道府県の担当窓口または専門の法務・医療コンサルタントにご確認ください。

 
 
 

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