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【令和8年診療報酬改定】医療DX推進体制整備加算の全変更点|電子的診療情報連携体制整備加算への移行と現場が取るべき行動

  • 執筆者の写真: Yuki
    Yuki
  • 3月19日
  • 読了時間: 6分

カテゴリ:医療DX / 診療報酬改定 / コンプライアンス


令和8年度(2026年度)の診療報酬改定では、「医療DX推進体制整備加算」と「医療情報取得加算」が廃止され、新たに「電子的診療情報連携体制整備加算」が創設されます。加算の名称変更だけでなく、算定要件・点数体系・施設基準が大幅に見直されており、対応を誤ると収益への直接的な影響が避けられません。

本記事では、医療DXコンサルタントとして100件以上の医療機関を支援してきた視点から、変更点の全体像・収益シミュレーション・施設が今すぐ取るべきアクションを網羅的に解説します。


📌 この記事でわかること:① 加算体系の変更前後の比較 ② 医科・歯科・薬局別の影響 ③ 収益シミュレーション(具体的な点数計算)④ 自院チェックリスト ⑤ 対応スケジュール


1. 加算体系の全体像:何が廃止され、何が新設されたか

2024年度まで存在していた「医療DX推進体制整備加算」と「医療情報取得加算」は令和8年度改定で廃止されます。代わりに創設されるのが「電子的診療情報連携体制整備加算」です。名称は変わりましたが、その本質は「ツールを導入しているか」から「ツールを活用して情報連携できているか」という評価軸の転換にあります。

外来(月1回)の新加算体系

区分

医科(初診)

歯科(初診)

主な算定要件

加算1

15点

9点

電子処方箋 かつ 電子カルテ情報共有サービスの両方を導入・活用

加算2

9点

4点

電子処方箋 または 電子カルテ情報共有サービスのいずれか一方を導入・活用

加算3

4点

(なし)

医療DX推進体制の整備(マイナ保険証利用実績等)

再診時

2点

2点

DX推進体制の整備(月1回算定可)


⚠️ 注意:本加算を算定した場合、従来の「明細書発行体制等加算(1点)」は別に算定できません。加算1(15点)を取っても実質の増分は14点となります。収益計算は「差し引き後」の点数で行ってください。


2. 入院医療への影響:160点の新設と診療録管理体制加算の40点減

外来だけでなく、入院医療にも大きな変更が加えられています。注目すべきは「新設160点」と「既存加算40点減」のトレードオフです。

項目

変更前

変更後(令和8年度)

電子的診療情報連携体制整備加算(入院)

なし

加算1:160点 / 加算2:80点(新設)

診療録管理体制加算1

140点

100点(40点減)


ここで読み取るべきメッセージは「原資の移動」です。DX対応を進めた病院は160点を獲得できる一方、対応を怠る病院は診療録管理体制加算の40点減だけを被ります。電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスへの対応可否が、実質的な「勝ち組・負け組」を決定します。

さらに、これらの加算算定には「サイバーセキュリティ対策の整備(BCP策定・バックアップ二重化・定期訓練)」が施設基準として明示されています。セキュリティはIT部門の課題ではなく、収益を守る経営基盤そのものです。


3. 収益シミュレーション:対応・未対応でどれだけ差がつくか

抽象的な解説だけでは実感が湧きにくいため、月間患者数200名の一般内科クリニックを例に試算します。

対応状況

月間加算点数

年間換算(10円/点)

現状比較

加算1取得(電子処方箋+電子カルテ情報共有)

14点×200名=2,800点

約33.6万円 / 月

▲+最大

加算3のみ取得(マイナ保険証体制整備)

4点×200名=800点

約9.6万円 / 月

▲+中

未対応(加算を算定しない)

0点

0円(+診療録管理減収)

損失


※点数は1点10円換算の概算です。実際の収益は患者数・算定方法・地域等により異なります。自院での正確なシミュレーションは365メディカルへご相談ください。


4. 薬局への影響:電子的調剤情報連携体制整備加算と重複投薬チェックの義務化

調剤報酬においても「医療DX推進体制整備加算」が「電子的調剤情報連携体制整備加算(8点)」へと名称変更され、要件が厳格化されます。

最大の変更点は「電子処方箋システムによる重複投薬等チェック」の義務付けです。これまでお薬手帳によるアナログ確認が主流でしたが、今後は電磁的記録に基づいたリアルタイムでの確認が求められます。薬局はシステム対応と業務フローの見直しを早急に進める必要があります。


5. ウェブサイト掲載の義務化:院内掲示から「開かれた情報公開」へ

今回の改定で特に見落とされやすい変更点が「ウェブサイト掲載の義務化」です。施設基準として、以下の3項目を自院のウェブサイトに掲載することが明文化されました。

•       医療DX推進の体制に関する事項(マイナ保険証活用、電子処方箋対応状況など)

•       質の高い診療を実施するための情報取得・活用方針

•       明細書発行体制等の透明性に関する情報


「院内掲示で足りる」という時代は終わりました。ウェブサイトでの公開は患者による医療機関選択に直結します。もし自院のサイトが未整備・更新停止の状態であれば、加算算定の要件を満たせないだけでなく、患者からの信頼性にも影響します。


6. 「当面の間」という表現に潜むリスク

電子カルテ情報共有サービスの導入要件について、当初「令和8年5月31日まで」とされていた期限が「当面の間」へと変更されました。これを「先送りが可能になった」と解釈するのは危険です。

厚労省の資料には「国等が運用を開始した場合には、速やかに導入するように努めること」と明記されています。インフラ整備が整い次第、いつでも義務化へ移行する方針に変わりはありません。準備を止めた施設は急な方針変更に対応できず、加算を取りこぼすリスクを抱え続けることになります。


7. 自院対応チェックリスト:今すぐ確認すべき10項目

以下の項目を確認し、未対応のものから優先的に対応を進めてください。


【加算算定要件】

□      マイナ保険証の利用環境(カードリーダー)を整備している

□      マイナ保険証の利用促進に関する院内掲示・スタッフ教育を実施している

□      マイナ保険証利用率が直近の要件(2026年3月〜:70%)を満たしている

□      電子処方箋システムを導入している(加算1・2の要件)

□      電子カルテ情報共有サービスの導入を検討・着手している


【ウェブサイト・施設基準】

□      自院ウェブサイトにDX推進体制・明細書発行体制を掲載している

□      施設基準の届出書類を最新の状態に更新している


【セキュリティ・BCP】

□      サイバーセキュリティ対策(バックアップ二重化)を実施している

□      非常時の復旧計画(BCP)を策定し、定期訓練を行っている

□      院内システムのセキュリティポリシーを文書化・証跡管理している


8. 対応スケジュール:2026年5月までの推奨ロードマップ

時期

取り組むべきこと

ポイント

〜2026年3月末

マイナ保険証利用率70%達成の院内施策実施

受付スタッフへのトーク研修・院内掲示の更新

2026年4月

施設基準の届出内容を確認・更新

ウェブサイトの掲載内容も同時に更新

2026年5月

電子カルテ情報共有サービスの導入計画を確定

「当面の間」の期限に備えた準備を完了する

継続的に

サイバーセキュリティ対策・BCP訓練

加算算定のゲートキーパーとして最重要項目


9. まとめ:データを「持っている」から「活かす」組織へ

令和8年度改定が突きつける問いはシンプルです。「あなたの施設は、デジタルツールを『導入しているだけ』になっていませんか?」

新設される「電子的診療情報連携体制整備加算」は、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスを実際に活用し、情報連携を進めている施設を評価する仕組みです。導入コストを回収できるかどうかは、院長・事務長のリーダーシップと、日常業務への定着度にかかっています。

まず今日できることは、この記事のチェックリストで自院の現状を把握することです。未対応の項目があれば、優先度の高いものから1つずつ着手してください。

 
 
 
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