2026年4月1日施行の労働安全衛生法改正
- Yuki

- 2 日前
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医療機関が今見直すべき「安全衛生体制」と「証憑管理」
2026年4月1日、労働安全衛生法関連の改正事項の一部が施行されます。今回の改正は、医療機関にとって単なる法改正対応ではありません。院内で働く職員だけでなく、委託先や個人事業者を含む安全管理、高年齢スタッフへの配慮、化学物質管理など、日常運営そのものに関わるテーマが含まれています。厚生労働省は、令和7年法律第33号による改正について、2026年1月1日以降に段階的に施行すると案内しており、その中に2026年4月1日施行の項目が含まれています。
病院やクリニックでは、法令対応そのもの以上に難しいのが、「必要な対応を、きちんと証明できる状態にしておくこと」です。現場では、職場巡視記録、研修記録、ヒヤリハット報告、委託先との取り決め、SDS関連資料、安全衛生委員会の議事録などが、紙、Excel、メール、共有フォルダ、担当者個人のPCに分散しがちです。改正の時代に求められるのは、単に実施することではなく、必要な証憑を整理し、必要な時にすぐ出せることです。
2026年4月1日に、医療機関が押さえたいポイント
2026年4月1日に関係する主な論点として、厚生労働省の改正ポイント資料では、個人事業者等の業務上災害報告制度の創設、高年齢労働者の労働災害防止措置の努力義務化、代替化学名等の通知制度などが示されています。
医療機関に引き寄せて考えると、特に重要なのは次の3点です。
1. 院内で働く「委託先・個人事業者」も含めた安全管理
改正では、労働者と同じ場所で働く個人事業者等を、労働安全衛生法上の保護対象や義務の主体として位置づけています。また、2026年4月1日施行事項として、個人事業者等の業務上災害が発生した場合に、その状況を報告させることができる仕組みが創設されました。
病院やクリニックでは、清掃、設備保守、医療機器メンテナンス、システム保守、廃棄物回収、搬送、改修工事など、さまざまな外部人材が院内で作業します。事故やヒヤリハットが起きたとき、自院職員ではないからといって無関係ではいられません。誰が把握し、誰が連絡し、誰が記録し、どのルートで報告するのかを、院内で整理しておく必要があります。
このとき重要になるのが、作業前の周知記録、委託契約書、安全配慮事項の共有記録、事故報告書、連絡体制図といった証憑です。法改正対応は、現場の安全管理と文書管理が一体で動いて初めて機能します。
2. 高年齢スタッフへの配慮は「感覚」ではなく記録が必要
2026年4月1日から、高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善、作業管理その他の必要な措置を講ずることが、事業者の努力義務になります。厚生労働省は、このための指針を公示しており、適用日は2026年4月1日です。
医療機関では、人手不足のなかでベテラン看護師、受付、事務、清掃、施設管理スタッフなど、高年齢者が現場を支える場面が増えています。一方で、転倒、段差、重量物運搬、長時間立位、夜勤、視認性の低下など、年齢によって負担が増しやすいリスクもあります。
大切なのは、「配慮しているつもり」で終わらせないことです。職場巡視記録、転倒リスク点検表、配置見直しの記録、教育記録、改善後の写真などを残しておくことで、院内でのPDCAが回りやすくなりますし、説明責任にもつながります。
3. 医療機関でも化学物質管理は実務課題
2026年4月1日施行事項として、SDS等の通知において、一定の場合に代替化学名等を用いる制度が始まります。営業秘密への配慮を認めつつも、実際の成分名等の記録保存や、医師が診断・治療のために必要とした場合の開示義務が求められています。
医療機関では、消毒薬、洗浄剤、検査試薬、滅菌関連薬剤、清掃用薬剤など、さまざまな化学物質を日常的に扱っています。工場のようなイメージはなくても、職員の曝露や事故時対応を考えれば、SDSの保管場所、最新版管理、緊急時の確認ルートを整えておくことは実務上とても重要です。SDS台帳、対象薬剤一覧、教育記録、更新履歴なども、証憑として見える化しておきたい領域です。
本当に見直すべきは「法改正対応」より「証憑の分散」
医院長・事務長にとって、現実に負担が大きいのは法改正の理解そのものではなく、必要な証憑が院内各所に散らばっていることです。総務、看護部、事務部、各部門責任者、委託先窓口がそれぞれ資料を持ち、全体像が誰にも見えていない。この状態では、対応していても、確認や監査、事故対応の場面で非常に弱くなります。
だからこそ必要なのが、
「どの証憑が、どの法令・どの運用に対応しているのか」
「誰が作成責任者なのか」
「どこに保存されているのか」
「更新状況はどうか」
を一覧化することです。
これは労働安全衛生法改正への対応であると同時に、医療機関の内部統制そのものでもあります。
e-文書法での管理を考えるなら、「電子化しただけ」では足りない
医療機関で証憑を電子管理する場合、単に紙をスキャンしてPDF化するだけでは十分とはいえません。厚生労働省は、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版を公表しており、このガイドラインは医療情報システムの安全管理やe-文書法への適切な対応に関する基準の一つとして位置づけられています。
この文脈で重要なのは、電子保存における
真正性
見読性
保存性
です。つまり、誰がいつ確定した文書なのかが分かり、必要なときに読めて、保存期間中に改ざんや滅失を防げる状態であることが求められます。
医療機関で安全衛生関係の証憑を電子管理するなら、少なくとも次のような運用が必要です。
対象文書を決める
作成者・承認者・登録担当を明確にする
ファイル命名や版管理のルールを決める
閲覧権限を分ける
更新履歴を残す
バックアップ方針を持つ
こうした運用ルールがないまま電子化すると、かえって「探せない」「最新版が分からない」「責任者が不明」という状態になりかねません。
だからこそ、証憑管理は“収納”ではなく“運用”で考える必要がある
ここまで見てくると、2026年4月1日の法改正対応は、単なる安全衛生マニュアルの改訂だけでは不十分だと分かります。必要なのは、院内に点在する証憑を、法令や運用と結びつけて管理できる仕組みです。
たとえば、
職場巡視記録
研修実施記録
委託先への周知記録
ヒヤリハット報告
委員会議事録
SDS管理台帳
マニュアル改訂履歴
点検表
改善前後の記録写真
こうした資料を、「とりあえず保存する」のではなく、抜け漏れなく一覧化し、準備状況が分かり、必要時にすぐ出せる状態にすることが大切です。
365Registryが役立つのは、こういう場面です
こうした背景から、医療機関では「法改正に対応するための個別文書作成」よりも、まず証憑を整理・可視化できる基盤を持つことが重要になります。
365Registryは、まさにこの“散らばった証憑を一覧で管理し、準備状況を見える化する”という発想に合う仕組みです。労働安全衛生関連の記録、委員会議事録、各種マニュアル、委託先関連資料、院内規程などを、項目ごとに整理しながら管理していくことで、「何があるか分からない」「未整備が見えない」「監査や確認のたびに探す」といった状態を減らしやすくなります。
特に医院長・事務長にとっては、
「対応しているはずだが、証拠が散らばっている」
「担当者しか分からない」
「紙とデータが混在している」
という状況を改善しやすいのが大きな利点です。
労働安全衛生法改正への対応は、今後も一度で終わるものではありません。だからこそ、場当たり的にファイルを増やすのではなく、院内の証憑管理を仕組み化することが、結果として最も効率的です。
まとめ
2026年4月1日施行の労働安全衛生法関連改正は、医療機関に対して「安全衛生を現場任せにしないこと」を求める内容です。個人事業者を含む院内安全管理、高年齢スタッフへの配慮、化学物質管理はいずれも、やっているだけでは足りず、証憑として残し、必要時に説明できることが重要になります。
そのうえで、電子保存を進めるなら、e-文書法や医療情報システムの安全管理ガイドラインを踏まえ、真正性・見読性・保存性を意識した運用が欠かせません。
もし院内で、証憑が部門ごとに散らばっている、どこまで整備できているか分からない、法令対応を継続的に管理したい、という課題があるなら、まずは証憑管理の全体像を見直すところから始めるのがおすすめです。
365Registryは、その最初の一歩として、医療機関の証憑管理を「探す仕事」から「見える管理」へ変えていくための選択肢の一つになるはずです。
参考・引用
厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」
厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法 改正の主なポイント」
厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」
厚生労働省関連資料(e-文書法対応の考え方を含むQ&A等)
免責事項
本記事は、2026年3月31日時点で公表されている厚生労働省等の資料に基づいて作成しています。個別文書の保存可否、保存期間、電子保存の具体的運用、院内規程の整備方法等は、個別事情によって異なる場合があります。実際の運用にあたっては、最新の法令・通知・Q&Aを確認のうえ、必要に応じて社会保険労務士、弁護士、医療情報担当者、システムベンダー等の専門家へご確認ください。




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