【R8診療報酬改定】HP掲載が「努力」から「完全義務」へ。2026年6月までに対応すべき全項目と実務手順
- Yuki

- 3月23日
- 読了時間: 7分
カテゴリ:診療報酬改定 / コンプライアンス / 医療DX

令和8年度(2026年)診療報酬改定で、医療機関のウェブサイト(HP)掲載義務がさらに拡大します。令和6年度改定で「原則化」されたHP掲載ですが、経過措置の終了(2025年5月末)と令和8年度の新要件追加という2段階の締切が迫っており、「まだ対応していない」では通らない局面になってきました。
本記事では、2つの締切・掲載が必須となる全項目・HP未設置の場合の影響・今日から始められる実務手順を一本にまとめて解説します。
INFO この記事でわかること:① 2段階の締切スケジュール ② 掲載必須項目の完全リスト ③ HP未設置の落とし穴 ④ PDF掲載 vs テキスト掲載の選び方 ⑤ 今週からの対応ステップ |
1. 2段階の締切を正しく理解する
「R8改定(2026年6月)まで準備すればいい」と思っている方は要注意です。実は締切は2段階あり、1つ目はすでに目前に迫っています。
締切 | 内容 | 対象 | 対応しない場合のリスク |
2025年5月末(R7年5月末) | R6年度改定の経過措置終了。院内掲示事項のウェブ掲載が完全義務化 | HPを持つすべての医療機関 | 施設基準の未充足とみなされるリスク |
2026年6月(R8年6月) | R8年度改定の施行。オンライン診療チェックリスト掲載等の新要件追加 | オンライン診療実施機関等 | 新加算の算定不可・DX加算の取りこぼし |
緊急 URGENT:2025年5月末は「令和8年度改定を待てばいい」という話ではありません。HPを持つ医療機関は2025年5月末の時点ですでに完全義務化されています。今すぐ対応状況を確認してください。 |
2. HPに掲載が必須な全項目リスト
「HPのどこに、何を書けばいいのか」を整理します。掲載場所の要件は「閲覧者がトップページから容易にたどり着ける場所」です。専用ページを作るか、トップページからのリンクボタンを設置することが望ましい対応です。
【全医療機関共通】基本的な施設基準
□ 地方厚生局に届け出ている施設基準の名称の一覧
□ 各施設基準の算定要件の概要(後発品使用割合・配置人員など)
□ 連携している医療機関の名称・住所・電話番号(在宅医療等を行う場合)
□ 明細書発行体制に関する事項
【医療DX・マイナ保険証関連】(R8で厳格化)
□ マイナ保険証の利用体制に関する事項(医療情報取得加算の要件)
□ 電子処方箋の導入状況
□ 診察室等でオンライン資格確認により取得した診療情報を診療に活用している旨
【オンライン診療実施機関】(R8新規)
□ オンライン診療指針遵守確認チェックリスト(厚労省様式)
□ オンライン診療の対象疾患・実施方法・予約方法
【医療広告ガイドライン遵守】(全院共通)
□ 「最高」「日本一」「No.1」等の比較優良広告に該当する表現がないこと
□ 未承認の薬機法対象製品の広告になっていないこと
□ 誘引性・特定性のある記載が医療広告ガイドラインに準拠していること
3. 「HPを持っていない」場合の落とし穴
現在HPを持っていない医療機関は、院内掲示のみで引き続き認められます。掲載義務がなく、直接的な減算もありません。しかしここに大きな落とし穴があります。
加算・要件 | HP設置あり | HP設置なし |
医療DX推進体制整備加算(最大15点) | 算定可(ウェブ公開が要件) | 算定不可 |
電子的診療情報連携体制整備加算 | 算定可 | 算定不可(要件に公開含む) |
患者からの信頼・選択 | 情報公開の姿勢として評価される | 情報公開に消極的と判断される傾向 |
HP未設置の医療機関は「義務違反ではない」が「高い点数が取れない・患者も集まりにくい」という二重の不利が生じます。簡易的な1ページのHPでも設置するだけで状況は大きく変わります。
4. 実務の選択肢:PDFか、テキスト掲載か
掲載方法に厳密なルールはありませんが、運用コストと更新のしやすさで選択してください。
方法 | メリット | 注意点 |
PDF掲載 | 院内掲示用Wordをそのまま流用でき最速。整合性の維持が容易 | 更新のたびにPDFを作り直す手間がある。ファイル名に日付を入れ管理する |
テキスト掲載(HPに直書き) | 検索エンジンに読まれやすくSEO効果あり | 院内掲示との文言差異が生じやすいため、定期的な突き合わせが必要 |
両方(PDF+テキスト) | SEOと証跡の両方を担保できる最善策 | 更新漏れが発生しないよう、更新フロー(担当者・頻度)を明文化する |
最もよくあるミスは「掲載したが更新を忘れた」です。連携医療機関の変更・担当医の交代・施設基準の届出変更があった際は、院内掲示とHP掲載を同時に更新するルールを院内で決めておいてください。更新日の明記(例:2026年6月1日更新)も忘れずに。
5. 今週からの対応ステップ(推奨順)
Step 1:現在の届出状況を確認する(所要15分)
地方厚生局のHPで自院の届出状況をダウンロードできます。掲載すべき施設基準の全リストがそこに揃っているため、まずこれをベースに整理します。
Step 2:掲載項目の原稿を作成する(所要1〜2時間)
院内掲示用のWordファイルをベースに、HP掲載用の文書を作成します。特別なデザインは不要です。「施設基準について」というシンプルなページに、テキストまたはPDFで掲載するだけで要件を満たせます。
Step 3:HPに掲載し、トップページからのリンクを設置する
Wix・WordPress等のCMS上で専用ページを作成し、フッターまたはメニューから直接アクセスできるリンクを設置してください。「施設基準・情報公開」といったラベルのメニュー項目が望ましい形です。
Step 4:更新フローを院内ルール化する
更新担当者・更新頻度(最低年2回:改定時と年度初め)・院内掲示との同時更新ルールを文書化し、スタッフに周知します。これが「証跡管理」の基本です。
6. よくある質問(FAQ)
Q. SNS(Instagram・Facebook)への投稿でHP掲載の代替はできるか? A. できません。SNSは「継続的に閲覧可能な状態」の維持が保証されないため、厚労省が想定する掲載媒体には該当しません。必ず自院のウェブサイト(独自ドメインまたはCMSサイト)に掲載してください。 |
Q. Googleビジネスプロフィールのみでも要件を満たすか? A. 原則として認められません。Googleビジネスプロフィールは第三者プラットフォームであり、掲載内容を自院で完全にコントロールできないためです。簡易的な1ページのウェブサイトを別途用意することを推奨します。 |
Q. オンライン診療をしていない場合、チェックリストの掲載は不要か? A. オンライン診療の施設基準を届け出ていない場合は不要です。ただし、将来的なオンライン診療導入を検討している場合は、開始と同時に掲載義務が発生します。事前にテンプレートを準備しておくことをお勧めします。 |
Q. 掲載内容に不備があった場合のペナルティは? A. 施設基準の要件を満たさないと判断された場合、加算を算定しているにもかかわらず要件未充足として返還を求められる可能性があります。また、指導・監査の際に指摘事項となります。定期的な内容確認と更新が重要です。 |
7. まとめ:R8改定は「信頼の可視化」を医療機関に求めている
今回のHP掲載義務化を一言で表すと「医療機関が自院の体制を、患者に対して開かれた形で証明する時代の到来」です。
• 2025年5月末:HPを持つ全医療機関でウェブ掲載が完全義務化
• 2026年6月:オンライン診療チェックリスト等の新要件が追加
• HP未設置:義務違反ではないが、医療DX系加算(最大15点)が取れない
• 対応の優先順:厚生局の届出確認 → 原稿作成 → HP掲載 → 更新フロー構築
「HPを更新して終わり」ではなく、患者にとって有益な情報が継続的に正しく届く体制を作ることが、これからのクリニック経営に不可欠です。まず今日、地方厚生局のサイトで自院の届出状況を確認することから始めてみてください。
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