2040年に向けた「新たな地域医療構想」が始動
- Yuki

- 7 日前
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病院経営に迫る機能再編と、今から始めるべき生存戦略
2026年、厚生労働省は、2040年とその先を見据えた新たな地域医療構想の方向性と、地域医療構想策定ガイドラインを公表しました。
これまでの地域医療構想は、主に2025年の医療需要を見据え、病床機能の分化と連携を進めることが中心でした。
しかし、新たな地域医療構想が対象とするのは、病床だけではありません。
外来医療、在宅医療、救急医療、介護との連携、医療人材の確保、医療DX、医療機関同士の再編・集約化まで含めた、地域の医療提供体制全体が対象になります。
厚生労働省は、新たな地域医療構想について、病床削減や医療機関の統廃合を前提とするものではなく、地域の関係者による自主的な協議を踏まえて進めるものと説明しています。
一方で、各医療機関には今後、
「2040年の地域で、自院はどのような役割を担うのか」
を、診療実績や将来需要などのデータに基づいて明確にすることが求められます。(厚生労働省)
これは単なる行政計画の変更ではありません。
病床構成、診療科、設備投資、人材採用、地域連携、在宅医療、DX投資など、病院経営の根幹に関わる再設計が始まったと考える必要があります。
まず、自院の立ち位置を整理しませんか
地域医療構想への対応は、通知を読んだだけでは進みません。
自院の診療実績、病床機能、地域需要、患者流出入、競合医療機関、建物・設備、人材構成、経営状況を横断的に整理し、2040年に向けた選択肢を比較する必要があります。
365メディカルでは、地域医療構想、医療DX、施設基準、経営管理を一体的に捉えた医療機関向けの現状整理・対応支援を行っています。
「自院はどの機能を目指すべきか分からない」 「地域医療構想調整会議に向けて何を準備すべきか知りたい」 「機能転換と経営への影響を整理したい」
という医療機関は、365メディカルへご相談ください。
【365メディカルへ相談する】
1.議論から実行へ移る「新たな地域医療構想」
地域医療構想とは、都道府県が将来の人口構造や医療需要の変化を見据え、地域に必要な医療提供体制を整備するために策定するものです。
従来は、主に病床を次の4機能に区分し、地域ごとの必要病床数を推計してきました。
高度急性期
急性期
回復期
慢性期
新たな地域医療構想では、従来の「回復期」が「包括期」へ変更されます。
さらに、病床単位の機能だけでなく、医療機関全体が地域で担う役割を示す「医療機関機能」が新たに位置づけられます。
つまり、これからの地域医療構想では、
「この病棟は急性期です」
という説明だけでは不十分になります。
医療機関全体として、
高齢者救急をどの程度受け入れるのか
重症救急や高度医療をどこまで担うのか
在宅医療を支えるのか
特定診療科やリハビリテーションに特化するのか
周辺医療機関とどのように役割を分担するのか
まで示すことが重要になります。
厚生労働省は、2040年に向け、全ての地域・世代の患者が必要な医療や介護を受け、入院後に日常生活へ戻れる体制と、医療従事者が持続可能な働き方を確保できる体制の構築を目指しています。(厚生労働省)
病床数だけを見ていては判断を誤る
今後の協議では、病床数だけでなく、次のような情報が重要になります。
年齢別・疾患別の将来患者数
救急搬送の受入実績
手術や処置の実績
入院患者の在院日数
在宅復帰率
患者の地域間流出入
医師、看護師、リハビリ職等の配置状況
建物や医療機器の更新時期
病床稼働状況
医業収益と収支構造
厚生労働省は、構想区域ごとの病床数、診療実績、医師数、患者の流出率・流入率などの見える化を進めています。
地域医療構想調整会議における議論も、今後はこうしたデータを基礎として行われることになります。(厚生労働省)
2.病院全体の役割を示す「医療機関機能」
新たな地域医療構想では、病床機能とは別に、病院全体の役割を表す医療機関機能が設定されます。
主な機能は次の4つです。
① 急性期拠点機能
重症救急、高度な手術、専門性の高い急性期医療などを集約的に担う機能です。
地域の急性期医療の拠点として、救急搬送や高度医療に対応することが期待されます。
ただし、「急性期を標榜している」「急性期病床を持っている」というだけで、急性期拠点機能を担えるとは限りません。
実際の協議では、地域の人口規模、患者の流出入、救急搬送件数、手術実績、医師配置、設備、経営状況などを総合的に検討することになります。
急性期拠点を目指す医療機関には、限られた人材や設備を集約し、一定の診療実績を維持する体制が求められる可能性があります。
② 高齢者救急・地域急性期機能
増加する高齢者の救急患者を受け入れ、治療だけでなく、早期リハビリテーション、栄養管理、口腔管理、退院調整まで一体的に行う機能です。
2040年に向けて、特に重要性が高まる機能の一つです。
高齢者は複数の疾患や生活上の課題を抱えていることが多く、疾患を治療するだけでは自宅や介護施設へ戻れない場合があります。
そのため、入院直後から次の生活場所を見据えた支援が必要です。
入院早期からのリハビリテーション
低栄養や嚥下状態の評価
歯科・口腔管理
服薬整理
家族や介護事業者との調整
退院後の在宅医療との接続
高齢者救急を担う医療機関は、単なる「軽症急性期病院」ではなく、治療と生活支援を同時に提供する地域の中心的な存在になると考えられます。
③ 在宅医療等連携機能
地域の診療所、訪問看護ステーション、介護事業所、薬局、歯科医療機関などと連携し、在宅療養患者を支える機能です。
在宅患者の急変時に受け入れる後方支援病床、いわゆるバックベッドの確保も重要になります。
在宅医療等連携機能を担うためには、自院の訪問診療件数だけでなく、地域の関係機関との連絡体制、入退院支援、情報共有、夜間・休日対応などを具体的に設計する必要があります。
今後、地域包括ケアを支える病院には、
「退院させる病院」から「退院後も地域とともに患者を支える病院」への転換が求められます。
④ 専門等機能
特定の診療科、疾患、専門医療、集中的なリハビリテーション、慢性期医療などを担う機能です。
例えば、回復期リハビリテーション、特定のがん診療、整形外科、循環器、脳血管疾患、精神医療、長期療養など、地域内で専門性を発揮する医療機関が想定されます。
ただし、専門性を掲げるだけでは十分ではありません。
地域内にどの程度の需要があるのか、近隣医療機関と重複していないか、紹介患者を確保できるか、人材を継続的に配置できるかまで検討する必要があります。
3.「回復期」から「包括期」へ何が変わるのか
新たな地域医療構想では、従来の病床機能区分である「回復期」が「包括期」に改められます。
包括期には、従来の回復期リハビリテーション機能に加えて、高齢者等の急性期患者を受け入れ、治療と入院早期からのリハビリテーション等を行い、早期の在宅復帰を支援する機能が含まれます。
厚生労働省の資料では、包括期機能について、次の役割が示されています。
高齢者等の急性期患者に治療を提供する
入院早期からリハビリテーションを行う
栄養・口腔管理を一体的に進める
急性期を経過した患者の在宅復帰を支援する
回復期リハビリテーションを集中的に提供する
つまり、包括期は従来の回復期を単純に名称変更したものではありません。
「急性期治療後のリハビリテーション」だけでなく、高齢者救急の受入れから早期の在宅復帰までを含む、より広い病床機能として設計されています。(厚生労働省)
リハビリテーションは病棟内の機能ではなくなる
今後、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーション職には、入院中の訓練だけでなく、退院後の生活まで見据えた関与が求められます。
重要になるのは、次のような連続性です。
入院直後の評価↓早期離床・機能訓練↓栄養・口腔管理との連携↓退院先の生活環境評価↓外来・訪問リハビリテーション↓介護サービスとの連携
リハビリテーション部門を診療報酬上の単独部門として見るのではなく、病床運営、在院日数、在宅復帰、地域連携を支える経営インフラとして再評価する必要があります。
4.病床稼働率の数字を経営目標と誤解してはいけない
新たな地域医療構想における必要病床数の算定では、医療需要を病床数に換算する際、次の病床稼働率が用いられます。
高度急性期:75%
急性期:78%
包括期:90%
慢性期:92%
ここで注意しなければならないのは、これらの数値が個別医療機関の経営目標として設定されたものではないという点です。
厚生労働省の検討資料でも、病床稼働率は必要病床数を算出するための換算値であり、各医療機関が必ずこの数値を目指すという意味ではないことが示されています。(厚生労働省)
一方で、地域全体として病床の機能分化や連携・再編が進めば、実際の病床数や病床構成に影響が及ぶ可能性があります。
特に、次のような状態にある医療機関は注意が必要です。
病床稼働率が継続的に低い
救急や手術の実績が減少している
医師や看護師の確保が難しい
病棟ごとの役割が曖昧である
建物や設備の大規模更新が近い
周辺病院と診療機能が重複している
在院日数が長く、退院支援が弱い
地域連携や在宅医療への接続が不十分である
病床を維持することそのものを目的にするのではなく、将来の医療需要と人材供給を踏まえ、
「どの病床を、どの役割で、どの規模まで維持するのか」
を検討する必要があります。
5.医療DXは、システム導入ではなく経営基盤の再設計
新たな地域医療構想では、人口減少と医療従事者不足の中でも医療提供体制を維持することが求められます。
そのためには、限られた人材で業務を継続できる仕組みが必要です。
医療DXは、単に電子カルテや生成AIを導入することではありません。
地域医療構想への対応という観点では、次のような業務全体の再設計が必要です。
診療情報の共有
紹介・逆紹介の効率化
入退院支援情報の連携
在宅医療との情報共有
病床稼働状況の可視化
診療実績データの集計
施設基準や届出の管理
職員配置や研修履歴の管理
会議資料や証憑の一元管理
経営指標の継続的なモニタリング
DXの目的は、システムを増やすことではありません。
院長、事務長、医事担当者、看護管理者などに集中している確認作業や資料作成を減らし、意思決定に必要な情報がすぐに取り出せる状態をつくることです。
地域医療構想調整会議への対応においても、自院の役割を主張するためには、診療実績や連携実績を継続的に把握し、説明できる状態にしておく必要があります。
「まだ方針が決まっていない」今が準備のタイミングです
地域医療構想は、都道府県や構想区域ごとに具体的な協議が進められます。
地域の方針が確定してから対応を始めるのでは、選択肢が限られてしまう可能性があります。
365メディカルでは、次のような整理を支援しています。
自院の病床・診療機能の現状整理
将来の医療需要と経営リスクの整理
医療機関機能の選択肢比較
地域医療構想調整会議に向けた資料整理
施設基準・届出・WEB掲示の管理体制整備
医療DX・業務効率化の実行計画
地域連携、在宅医療、機能転換の検討
経営会議や理事会向けの説明資料作成
何から着手すべきか分からない段階でも問題ありません。
まずは、自院の現状と地域での立ち位置を整理するところから始めます。
【地域医療構想への対応について相談する】
6.医療機関が今から取り組むべき5つのこと
① 自院の診療実績を客観的に把握する
最初に必要なのは、自院が掲げている機能と、実際の診療実績が一致しているかを確認することです。
確認すべき項目には、次のようなものがあります。
救急搬送受入件数
手術・処置件数
疾患別患者数
年齢別患者構成
入院経路
平均在院日数
在宅復帰率
紹介率・逆紹介率
退院先
病床稼働率
地域別の患者流入・流出
医師、看護師、リハビリ職等の配置
自院の強みを、感覚ではなくデータで説明できる状態にする必要があります。
② 複数の経営シナリオを比較する
自院の将来像を一つに決め打ちするのは危険です。
例えば、次のような複数のシナリオを比較します。
急性期機能を維持・強化する
高齢者救急・地域急性期へ重点を移す
包括期病床を強化する
在宅医療の後方支援機能を担う
特定診療科に専門化する
病床規模を適正化する
他院との連携や再編を検討する
各シナリオについて、収益、人員、設備投資、病床稼働、診療報酬、地域需要、実行時期を整理します。
③ 地域医療構想調整会議を「交渉の場」と捉える
地域医療構想調整会議は、行政から決定事項を伝えられるだけの場ではありません。
地域に必要な医療機能や医療機関間の役割分担について、関係者が協議する場です。
自院が地域で必要とされる理由を説明するためには、
自院が現在担っている役割
機能を縮小した場合の地域への影響
今後強化できる機能
他院との連携可能性
必要な行政支援
人材・設備上の課題
を事前に整理しておく必要があります。
④ 人材戦略と機能戦略を一体化する
機能を決めても、担う人材がいなければ実現できません。
特に、看護師、リハビリ職、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、診療情報管理士、医事・経営管理人材などの確保は、今後さらに重要になります。
採用人数だけでなく、
業務分担の見直し
タスクシフト・タスクシェア
教育体制
キャリア設計
夜勤負担
子育て・介護との両立
DXによる事務負担軽減
を含めて検討する必要があります。
⑤ 制度対応を院長や事務長だけで抱えない
地域医療構想への対応は、診療報酬、施設基準、医療法、医療計画、補助金、DX、人材、建物・設備など複数分野にまたがります。
院長や事務長が通常業務の合間に、全ての資料を読み、データを集計し、将来計画を作成することには限界があります。
制度対応を属人的な業務にせず、
誰が情報を収集するのか
誰がデータを管理するのか
誰が経営判断を行うのか
誰が行政や関係医療機関と協議するのか
どの資料をどこに保存するのか
を明確にする必要があります。
7.新たな地域医療構想は「病床削減の話」だけではない
地域医療構想という言葉を聞くと、病床削減や病院統合の話だと受け止められがちです。
しかし、本質は地域の限られた医療資源をどのように配分し、将来にわたって医療提供体制を維持するかにあります。
厚生労働省も、地域医療構想は病床削減や統廃合ありきではなく、地域の自主的な協議を踏まえて進めるものと明記しています。(厚生労働省)
一方で、自院の役割を明確にしないまま協議を迎えれば、他の医療機関や行政が描いた地域の将来像の中で、自院の位置づけが決まってしまう可能性があります。
これから重要になるのは、
「病床を守ること」
ではなく、
「地域で必要とされる機能を、持続可能な方法で提供できること」
です。
8.まとめ:2040年の病院経営は、すでに始まっている
2040年は、まだ先の話に見えるかもしれません。
しかし、病院の機能転換、病床再編、建物の更新、人材育成、地域連携体制の構築には、長い時間がかかります。
数年後に地域の方針が固まってから検討を始めても、設備投資、人材採用、病床転換、他院との連携協議が間に合わない可能性があります。
今、医療機関に求められているのは、直ちに一つの結論を出すことではありません。
まずは、自院の現状を可視化し、将来の選択肢を比較できる状態をつくることです。
自院は地域で何を担っているのか
2040年に、その需要は残っているのか
必要な人材を確保できるのか
建物や設備を維持できるのか
周辺医療機関とどのように分担するのか
在宅医療や介護とどうつながるのか
DXによって何を効率化するのか
これらの問いに答えることが、地域医療構想への対応であり、同時に病院経営の中長期戦略になります。
365メディカルは、医療制度の情報提供だけでなく、医療機関ごとの現状整理、施設基準管理、医療DX、業務設計、地域連携、経営資料の作成まで、実行段階を支援します。
地域医療構想への対応を、院長や事務長だけで抱え込む必要はありません。
「自院がどの機能を選択すべきか整理したい」「経営への影響を分析したい」「地域医療構想調整会議に向けた資料を準備したい」「制度対応とDXを一体的に進めたい」
という医療機関は、365メディカルへお問い合わせください。
2040年に向けた自院の役割を、一緒に整理します
構想区域、病床規模、診療実績、地域の医療需要によって、取るべき戦略は異なります。
365メディカルでは、貴院の現状を確認したうえで、対応すべき事項と優先順位を整理します。
引用・参考資料
厚生労働省「2040年に向けた地域医療構想」
厚生労働省「地域医療構想策定ガイドライン」
厚生労働省「新たな地域医療構想策定ガイドラインについて」
厚生労働省「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」資料
厚生労働省「病床機能報告」
厚生労働省「地域別の病床機能等の見える化」
用語説明
地域医療構想
将来の人口構造や医療需要を見据え、地域における病床機能、医療機関機能、外来、在宅医療、介護との連携などを含む医療提供体制を構築するため、都道府県が策定する構想です。
病床機能
病棟が担う医療機能を、高度急性期、急性期、包括期、慢性期の4つに区分したものです。
医療機関機能
病床単位ではなく、医療機関全体が地域で担う役割を示す区分です。急性期拠点機能、高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、専門等機能があります。
包括期
高齢者等の急性期患者に対する治療、早期リハビリテーション、栄養・口腔管理、在宅復帰支援や、急性期を経過した患者への回復期リハビリテーションなどを包括的に担う病床機能です。
地域医療構想調整会議
都道府県や構想区域において、医療機関、医師会、保険者、行政などの関係者が、地域に必要な医療機能や医療機関の役割分担について協議する会議です。
医療DX
デジタル技術や医療情報を活用し、診療情報の共有、業務効率化、地域連携、患者サービス、経営管理などを改善する取り組みです。
免責事項
本記事は、2026年7月時点で公表されている厚生労働省資料等に基づき、医療機関経営の観点から一般的な情報を提供するものです。
地域医療構想の具体的な策定内容、報告方法、協議の進め方、対象医療機関、スケジュール等は、今後の法令、通知、都道府県の方針および構想区域ごとの協議によって変更される場合があります。
具体的な病床機能の変更、医療機関機能の選択、設備投資、再編、診療報酬上の届出その他の経営判断を行う際は、最新の行政通知、都道府県の公表資料、地域医療構想調整会議の動向等をご確認ください。
本記事の情報のみを根拠として行われた判断や行為により生じた損害について、365メディカルおよび記事作成者は責任を負いかねます。




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