「原則WEB掲載」ならホームページ新設が必要?令和8年度診療報酬改定をわかりやすく整理
- Yuki

- 2 日前
- 読了時間: 11分

令和8年度診療報酬改定を受けて、医療機関からこんな質問を聞く機会が増えました。
「施設基準に“原則としてウェブサイトに掲載”とあります。これは、その加算を算定するならホームページを持たなければならないという意味ですか?」
この点は、かなり誤解されやすいところです。
先に結論をいうと、
「原則としてWEB掲載」と書かれているだけで、すべての医療機関にホームページの新設が義務付けられるわけではありません。
一方で、
「ホームページがなければ、WEB関係は全部対応不要」
という理解も正確ではありません。
令和8年度のWEB掲示対応では、
「WEB掲載と書いてあるか」ではなく、「そのWEB掲載がどのような要件として定められているか」
を見ることが重要です。
今回は、
原則WEB掲載
ホームページがない場合の例外
施設基準としてのWEB掲載
算定要件としてのWEB公表
の違いを、できるだけシンプルに整理します。
まず結論。「WEB掲示義務」と「ホームページ保有義務」は同じではない
令和8年度診療報酬改定では、患者が必要な情報を確認しやすくするため、院内掲示事項についてWEB上でも公表する考え方が強化されています。
そのため、通知や施設基準を読んでいると、
「原則としてウェブサイトに掲載すること」
という表現が多く登場します。
これだけを見ると、
「ホームページがない医療機関は、新しく作らないといけないのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、一般的なWEB掲示ルールでは、
自ら管理するホームページ等を有しない保険医療機関については、この限りではない
という例外が設けられているものがあります。
つまり、
WEB掲載を原則とすることと、すべての医療機関にホームページを持たせること
は同じ意味ではありません。
「原則としてWEB掲載」の“原則”をどう読むか
ここで大切なのは、通知を1文だけ切り取って読まないことです。
例えば、
掲示事項について、原則としてウェブサイトに掲載すること。
と書かれていて、そのあとに、
自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではない。
と続いている場合があります。
この場合の考え方はシンプルです。
ホームページを持っている医療機関
必要な掲示事項をWEBにも掲載する。
自ら管理するホームページ等を持っていない医療機関
例外規定の対象となる。
したがって、
「原則WEB掲載」=「HP保有必須」
ではありません。
施設基準を読むときは、
「原則として」のあとに、例外規定がないか
まで確認する必要があります。
院内掲示とWEB掲載は分けて考える
ここも重要です。
ホームページを持っていない場合にWEB掲載の例外が認められていたとしても、
院内掲示まで不要になるわけではありません。
例えば、一般的には、
状況 | 院内掲示 | WEB掲載 | HP新設 |
自院管理HPあり | 必要 | 原則必要 | 不要 |
自院管理HPなし | 必要 | 例外規定があれば不要 | 原則不要 |
HPなしで施設基準を届出 | 必要 | 個別要件を確認 | 一律に必須とはいえない |
という整理になります。
つまり、
「HPがないから何もしなくていい」ではなく、「院内掲示は必要。WEB掲載は個別に確認」
という考え方です。
過去の医療DX推進体制整備加算も同じ考え方だった
この違いを理解するうえで参考になるのが、令和6年度の医療DX推進体制整備加算です。
当時の施設基準では、掲示事項について、
原則としてウェブサイトへ掲載すること
を求めながら、
「自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではない」
という例外が設けられていました。
そのため、
「WEB掲載要件がある→ HPがない→ 加算を算定できない」
ということではありませんでした。
正しくは、
加算を算定する→ HPがある場合はWEB掲載する→ HPがない場合は例外規定を確認する
という構造です。
ここからが重要。すべてのWEB掲載要件に「HPなし例外」があるわけではない
ここまで読むと、
「では、ホームページがなければWEB掲載はすべて免除されるのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、そうではありません。
令和8年度の個別施設基準を確認すると、
WEB上での公表そのものが施設基準となっており、「HPがない場合は例外」という規定が確認できない項目
も存在します。
代表的な例が、
K939-4 内視鏡手術用支援機器加算
です。
この施設基準では、
内視鏡手術用支援機器を用いた手術の前年の実績(症例数及び平均在院日数)について、ウェブサイトに掲載していること。
とされています。
ここで注目したいのは、
「原則として」
という文言がないこと。
さらに、
「自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではない」
という例外も、確認した規定上は付いていないことです。
これは一般的なWEB掲示ルールとは性質が違います。
なぜ「内視鏡手術用支援機器加算」は注意が必要なのか
この加算の場合、
前年の症例数や平均在院日数をウェブサイトに掲載していること自体が、施設基準の一部
になっています。
さらに、令和8年5月8日の疑義解釈でも、このWEB掲載を前提として、症例数や平均在院日数の考え方が示されています。
つまり、
「うちはHPがないので、この部分は関係ありません」
と一般的なHPなし例外をそのまま当てはめるのは危険です。
このような項目は、
WEB上の公表手段を確保しなければ、施設基準を満たさない可能性がある
と考えて確認する必要があります。
WEB掲載は「4分類」で整理するとわかりやすい
令和8年度のWEB掲示対応を理解するには、「必要/不要」だけで分けない方が実務的です。
365メディカルでは、少なくとも次の4つに分けて考える必要があると考えています。
分類 | 内容 | HPがない場合 |
A | 一般的な掲示事項のWEB掲載 | HPなし例外があれば新設不要 |
B | 施設基準届出に伴うWEB掲載 | 個別通知を確認 |
C | 算定要件としてWEB掲載+HPなし例外あり | 例外適用の可能性あり |
D | 算定要件としてWEB掲載+HPなし例外なし | WEB上の公表手段が必要となる可能性が高い |
特に注意したいのがDです。
現時点で確認できる代表例として、
K939-4 内視鏡手術用支援機器加算
があります。
施設基準を見るときは、3つをチェックする
「WEB掲載」と書いてある施設基準を見つけたら、少なくとも次の3点を確認してください。
1.「原則として」と書いてあるか
「原則として」と書かれている場合は、そのあとに例外規定がないか確認します。
2.「HPなし例外」が書かれているか
具体的には、
「自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではない」
という文言があるかです。
これがある場合、HPを持たない医療機関に明確な例外が設けられています。
3.WEB掲載そのものが施設基準になっていないか
例えば、
「前年の実績について、ウェブサイトに掲載していること」
と書かれている場合です。
これは一般的な院内掲示事項のWEB転載ではなく、
WEB上で公表していること自体が施設基準
となっている可能性があります。
同じ「WEB掲載」でも意味はまったく違う
少し単純化して比較すると、違いがわかりやすくなります。
パターン1
原則としてウェブサイトに掲載すること。ただし、自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではない。
この場合は、
HPなしの例外が明示されています。
一方、
パターン2
前年の実績について、ウェブサイトに掲載していること。
この場合は、
WEB上で実績を公表していること自体が要件
になっています。
さらにHPなし例外がなければ、
「ホームページがないから対応不要」
とは簡単には判断できません。
同じ「WEB掲載」という言葉でも、制度上の意味は異なります。
「ホームページがなければWEB関係は全部対象外」は危険
令和8年度改定で最も避けたいのは、
「うちはホームページがないから、WEB掲示は全部関係ない」
と判断してしまうことです。
一般的な掲示事項については、HPなし例外があるものがあります。
しかし、
個別施設基準や算定要件については別途確認が必要です。
実務では、次の流れで確認すると整理しやすくなります。
自院が届け出ている施設基準を一覧化する
WEB掲載要件のある項目を抽出する
「原則WEB掲載」なのか確認する
HPなし例外があるか確認する
WEB掲載そのものが算定要件か確認する
この5つを分けて見るだけでも、かなり判断しやすくなります。
本当に必要なのは「ホームページ管理」ではなく「施設基準との紐付け」
令和8年度のWEB掲示対応を見ていると、問題の本質はホームページ制作ではありません。
重要なのは、
どの施設基準を届け出ているか
を起点にして、
院内掲示が必要かWEB掲載が必要かHPなし例外があるかWEB公表自体が算定要件か
を紐付けて管理することです。
この整理をしないまま、
「とりあえず院内掲示事項を全部ホームページに載せよう」
とすると、本当に必要な項目を見落としたり、逆に不要な情報まで掲載したりする可能性があります。
365メディカルが考える令和8年度のWEB掲示管理
365メディカルでは、令和8年度のWEB掲示対応で必要なのは、
「WEBページを作ること」ではなく、「施設基準とWEB掲示を一体で管理すること」
だと考えています。
同じWEB掲載でも、
HPがあれば掲載
HPがなければ例外
算定する場合だけ掲載
HPなしでも公表手段が必要
届出施設基準によって掲載内容が変わる
といった違いがあります。
単純なホームページ制作だけでは、この違いを継続的に管理することはできません。
必要なのは、
「自院に何が必要なのか」を施設基準から判断できる仕組み
です。
まとめ|「原則WEB掲載」と「WEB掲載必須」は同じではない
令和8年度診療報酬改定のWEB掲示対応で押さえておきたいのは、次の点です。
「原則としてWEB掲載」と書かれているだけで、すべての医療機関にホームページ保有や新設が義務付けられるわけではありません。
HPを持たない医療機関について、
「自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではない」
とする例外が設けられている場合があります。
一方で、
WEB上で公表すること自体が個別施設基準となり、HPなし例外が確認できない項目もあります。
その代表例が、
K939-4 内視鏡手術用支援機器加算
です。
したがって、施設基準を見るときは、
① 原則WEB掲載なのか② HPなし例外があるのか③ WEB掲載自体が施設基準・算定要件なのか
を確認する必要があります。
「WEB掲載」という言葉だけで判断しない。
これが、令和8年度のWEB掲示対応で非常に重要なポイントです。
365メディカル「医療機関WEB掲示サービス」
365メディカルでは、令和8年度診療報酬改定に対応した医療機関WEB掲示サービスを提供しています。
例えば、
「自院が何をWEB掲載すればよいのかわからない」
「ホームページがなくても対応が必要な施設基準があるのか確認したい」
「院内掲示とWEB掲示をまとめて管理したい」
「施設基準を変更するたびにホームページを修正するのが大変」
といった医療機関の課題に対応します。
365メディカルが重視しているのは、単なるWEBページ制作ではありません。
施設基準 × 院内掲示 × WEB掲示 × 継続管理
を一体で考えることです。
▼ 医療機関WEB掲示サービスhttps://application.365medical.or.jp/
参考・根拠資料
厚生労働省「保医発0327第6号」(令和8年3月27日)
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 医療技術の適切な評価」
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 疑義解釈資料」(令和8年5月8日)
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 経過措置」
用語解説
原則WEB掲載
施設基準や掲示事項について、原則としてウェブサイトへ掲載するという取扱いです。
「自ら管理するホームページ等を有しない場合はこの限りではない」とする例外が設けられている場合があります。
HPなし例外
「自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではない」とする規定です。
この規定がある場合、WEB掲載のためだけにホームページを新設することまで求められていないと整理できます。
施設基準
特定の診療報酬を算定するために、医療機関が満たす必要のある人員、設備、診療体制、実績などの基準です。
内視鏡手術用支援機器加算
令和8年度診療報酬改定で新設された評価で、対象となる内視鏡手術用支援機器を用いた手術について一定の施設基準が設定されています。
前年の症例数・平均在院日数について、ウェブサイトへの掲載が施設基準の一つとして定められています。
免責事項
本記事は、令和8年度診療報酬改定に関する厚生労働省の告示・通知・疑義解釈等をもとに、2026年8月時点の情報を一般向けに整理したものです。
個別の医療機関における施設基準の届出可否、診療報酬の算定可否、ホームページ開設の要否、WEB掲載方法等を保証するものではありません。
WEB掲載を個別の施設基準・算定要件として定める項目については、最新の告示・通知・疑義解釈等をご確認いただき、不明な場合は管轄の地方厚生(支)局等へご確認ください。




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