後発医薬品調剤体制加算の廃止後はどうなる?新加算27〜67点の要件と経過措置を解説


2026年6月の調剤報酬改定において、多くの薬局経営者や医療従事者が注目したのが「後発医薬品調剤体制加算の廃止」です。「ジェネリックの加算がなくなったため、対応が不要になった」と考えるのは早計です。実際には加算が消滅したわけではなく、「地域支援・医薬品供給対応体制加算」という新たな枠組みへと形を変えて再構成されました。
今回の改定が意味するのは、評価の軸が「後発医薬品をどのくらいの割合で調剤したか」から「地域医療の中で薬を切らさずに供給できる実務体制があるか」へとシフトした点です。本記事では、新設された加算の仕組みや要件、経過措置、さらには処方元である病院・クリニックへの影響と対策について解説します。
【1】加算廃止の背景:数量シェアの「定着」と供給不安への対応
従来の「後発医薬品調剤体制加算」は、後発品の調剤割合(80%以上〜90%以上)に応じて21点〜30点が給付される仕組みでした。中医協のデータによると全国の約8割の薬局が何らかの区分を届け出ていた主要な加算です。
厚生労働省が今回この加算を廃止・再編した理由は主に2点あります。
1. 後発医薬品の使用割合が90%近くに達し、普及・定着という本来の目的を果たしたこと
2. 昨今の医薬品供給不足に伴い、薬局現場で調達や調整といった追加業務が発生していること
数量割合に対するインセンティブとしての役割を終え、医薬品の安定供給を支える「実務」を評価する方向へ舵を切ったと言えます。
【2】新加算の「2階建て」構造と点数の仕組み
新たにスタートした「地域支援・医薬品供給対応体制加算」は、2階建ての構造を持つ5段階の点数設定(27点〜67点)となっています。
■ 1階部分:加算1(27点)
医薬品の安定供給体制に加え、後発医薬品の調剤割合85%以上が必須要件となります。
■ 2階部分:加算2〜5(37点〜67点)
1階の要件を満たした上で、1,200品目以上の備蓄や地域医療への貢献実績(所定の項目クリア)に応じて評価されます。
重要な変更点は、これまで点数の源泉だった「後発品割合85%」が、加算を取るための「最低条件(土台)」に過ぎなくなったことです。割合をクリアしているだけでは加算は付かず、供給体制の実績が組み合わさって初めて評価されます。
【3】加算1で求められる「実務的な取り組み」とは?
新加算1の施設基準では、数値の達成だけでなく具体的な行動実績が重視されます。
・計画的な医薬品の調達および適切な在庫管理
・近隣の他薬局への医薬品分譲実績(直近1年間・グループ外限定)
・品切れ時の入手先案内や、処方医への変更照会対応
・重要供給確保医薬品(内用薬・外用薬)の約1か月分の在庫確保
・単品単価交渉の実施および卸への不必要な頻回配送・急配依頼の自粛
特にグループ外の他薬局への分譲実績は、直前の準備では対応できません。地域全体で調達困難な状況を支え合った実績が評価の要となります。
【4】収益面への影響と2027年5月末までの経過措置
旧制度で「地域支援体制加算」と「後発品加算」の両方を取得していた薬局にとっても、新加算への移行によって実質数点分の減算傾向となると分析されています。さらに、新要件を満たせず加算を消失した場合、旧制度で得ていた最大30点分を失うリスクがあり、薬局間の収益の二極化が進む可能性があります。
なお、2026年3月31日時点で旧後発品加算を届け出ていた薬局には経過措置が設定されています。
・経過措置期限:2027年5月31日まで
・猶予内容:期間中は後発品割合85%の要件を満たしているとみなす
注意点として、免除されるのは「割合の要件」のみであり、他薬局への分譲実績といった安定供給体制の要件は経過措置中も求められます。割合が85%未満の薬局は、2027年6月以降の失注を防ぐため早急な対応が必要です。
【5】医療機関(病院・クリニック)に求められる薬局連携
この制度変更は、処方せんを発行する医療機関側にも関わってきます。加算要件に「入手困難時の処方医への照会対応」が含まれるため、薬局からクリニックへの問い合わせが増加することが予想されます。
診療をスムーズに進めるため、クリニック側でも事前の準備が有効です。
1. 処方変更照会の対応窓口と時間帯の明確化
2. 同効薬・後発品・規格変更に関する事前取り決めの文書化
3. 近隣の主たる調剤薬局との情報共有体制の確立
4. 医薬品不足時の患者向け案内の整理
これらを整えておくことで、診療の滞りを防ぎ、患者の待ち時間短縮にも繋がります。
■ まとめ:求められるのは「地域で薬剤を絶やさない体制づくり」
今回の調剤報酬改定は、評価基準を「調剤の割合」から「地域の薬局網を守る実務」へと大きく転換させるものでした。
365メディカルでは、診療報酬・調剤報酬改定への適応支援をはじめ、施設基準の届出・ウェブ掲示対応、医療DXを活用した業務効率化まで、医療機関の運営を幅広くバックアップしています。地域薬局との連携構築や運用の見直しでお困りの際は、ぜひご相談ください。
※本記事は2026年11月時点の公表資料に基づき作成しています。具体的な施設基準の届出や解釈にあたっては、厚生労働省の最新通知や管轄の地方厚生局へご確認ください。




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