「スキャナを買え」じゃない。2026歯科改定は“再現性と連携”を買いに来た
- Yuki

- 2月22日
- 読了時間: 4分

「口腔内スキャナ、結局“入れた者勝ち”なんでしょ?」
…実は2026改定のメッセージは逆です。政府が評価したいのは“機械”ではなく、補綴の再現性と、歯科医師—歯科技工士の連携が仕組みとして回っている状態。
今回の改定を読み解くと、点数の上げ下げよりも「勝ち筋(運用の型)」が見えてきます。
1. まず結論:2026改定は「デジタル投資」ではなく「連携インフラ投資」
2026年(令和8年度)改定の歯科デジタルは、単なるDX推進ではありません。中医協の整理を読むと、狙いは明確です。
歯科医師と歯科技工士の連携を“更に推進”し、評価範囲・施設基準を見直す
印象精度が良好であることを踏まえ、CAD/CAM冠製作時の光学印象に新たな評価を行う
つまり政府の趣きは、こうです。
「補綴はチーム医療。連携を仕組みに落とせ。再現性が高い運用に点数をつける。」
2. 口腔内スキャナ=光学印象:重要なのは「対象拡大」と“工程安定”
光学印象は、2026改定で(1歯につき)100点→150点として整理されています。
さらに政策文脈として大きいのが、適用がCAD/CAMインレーだけでなく、CAD/CAM冠にも拡大する方向が示されている点です。
ここで大事なのは「点数が上がった」よりも、政府が光学印象をどう位置づけたか。
光学印象を“単なる印象手段”ではなく、形成〜印象〜咬合〜設計〜製作〜装着までの工程全体のブレを減らす道具として見ています。
3. 歯科技工士連携加算:本丸はここ。評価されるのは“連携した事実”ではなく“連携が運用になっている状態”
2026改定の思想が最も濃く出るのが、歯科技工士連携加算です。
光学印象に関連して、歯科医師と歯科技工士が口腔内状況を確認し、製作に活用した場合の加算が整理されています。
そして象徴的なのが、対面よりICT(情報通信機器)の方が評価が厚い点です。
歯科技工士連携加算1(対面):60点
歯科技工士連携加算2(ICT):80点
この設計は、政府が「院内技工のある医院だけ得をする世界」を作りたいわけではない、という意思表示に見えます。
距離があっても連携できる仕組み(=地域連携・外注でも回る運用)を評価する
4. 政府の趣き(読み解き)
(1) 補綴の品質は「技工の腕」だけで決まらない
情報が足りない発注(形成意図、マージン、咬合、色調、軟組織)が、トラブルと再製を生みます。
政府は“連携”を点数にすることで、情報断絶を制度で潰しに来ています。
(2) DXは“機器導入”ではなく“運用の標準化”
スキャナがあっても、
誰が・何を・いつ確認し・どう製作に反映したかが残らないと、連携は“雰囲気”で終わります。
改定は、そこを「記録できる運用」へ誘導しています。
(3) 人材不足を前提に「ICTで回る連携」を本流にする
ICTの方を厚く評価しているのは、まさにこれ。
偏在と不足が進む歯科技工士リソースを、距離の制約から解放する方向に、制度が寄っています。
5. ここが勝ち筋:算定と品質を両立する「最小実装」
“運用の型”がある医院は、2026改定で強くなります。逆に、ここが無いと詰まります。
① 技工へ渡す「口腔内確認テンプレ」(最低限)
マージン:露出状況/圧排の状態
咬合:咬頭嵌合/早期接触の疑い/対合歯の注意点
隣接面:コンタクト強弱の希望
色調:写真(できれば基準スケール)+希望(明度/透明感)
目的:審美優先/耐久優先/再治療回避 など
② ICT連携は「証拠が残る導線」が命
ツールは何でもOKです。要件は“残り方”。
1案件=1スレッド(ID付与)
残すのは3点だけ
確認者(歯科医師/歯科技工士)
確認日時
確認データ(写真・動画・STL等)
③ カルテ記載の一文テンプレ
「光学印象実施。歯科技工士と(対面/情報通信機器)にて口腔内の確認等を行い、当該修復物/補綴物の製作に活用した。」
6. まとめ:2026改定は「口腔内スキャナの時代」ではなく「連携の時代」
光学印象:100点→150点へ(方向性)
歯科技工士連携加算:対面60点/ICT80点の設計
政策意図:歯科治療のデジタル化推進、技工連携の推進、CAD/CAM冠での光学印象評価
結局、政府が言いたいのはこれです。
補綴を、属人性から“再現性のある運用”へ。連携が仕組みになっているところに点数を付ける。
もし「スキャナはあるのに、なぜかトラブルと作り直しが減らない」なら、問題は機械ではなく連携の運用設計です。
※本記事に記載している制度・法令に関する内容は、一般社団法人365メディカルが公開情報や資料をもとに整理した参考情報です。
当法人は法務・労務の専門家ではなく、本記事は特定の法的解釈や実務対応を保証するものではありません。
実際の対応や判断にあたっては、最新の法令・公式資料をご確認のうえ、社会保険労務士・弁護士などの専門家へご相談ください。
本記事は、「制度をどう理解すれば現場で考えやすくなるか」という観点からまとめたものであり、実務検討のヒントとしてご活用いただければ幸いです。




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