top of page

光学印象が150点に|口腔内スキャナーと歯科技工所の連携を365メディカルが解説

執筆者の写真: Yuki
Yuki
3 日前
読了時間: 5分

■ 口腔内スキャナー(IOS)がもたらす型取りの革新と現状の課題


印象材を口の中に含み、固まるまでじっと待つ――。患者さんにとって歯科治療の「型取り」は、嘔吐反射や息苦しさを伴う大きなストレスでした。この問題を解消する技術として大きな注目を集めているのが、口腔内スキャナー(IOS)です。


小型カメラで口腔内を撮影し、瞬時に3Dデータ化するIOSは、患者さんの負担を大幅に和らげます。特にベッド上での処置が必要な訪問診療においては、誤嚥のリスクを抑えつつスムーズな型取りが行えるため導入を望む声が高まっています。


しかし、いざ機器を買い揃えても「思っていたようにデータが流れない」という臨床現場の壁に直面するケースが増えています。



■ 令和8年度の診療報酬改定と光学印象の普及


IOS導入の波は、制度面での後押しを受けて加速しています。2026年6月の診療報酬改定では、光学印象の適用範囲がCAD/CAM冠へと広がり、評価も1歯あたり100点から150点へと加算されました。


この評価見直しに伴い、厚生労働省への届出を行う医療機関は急増しています。調査データによれば、2024年8月時点で8,983施設(届出率13.4%)だった導入医院は、2026年4月時点で13,403施設(届出率20.4%)へと増加。全体の約2割のクリニックが光学印象の体制を整える時代になりました。


ただし、単に点数が上がったからという理由だけで導入を決めるのは禁物です。施設基準を満たす届出や自院の症例数との兼ね合いを精査する必要があります。



■ なぜ導入後につまずくのか?機器・臨床・技工の「3者のギャップ」


IOSの運用でトラブルが起きやすい最大の要因は、機器のスペック不足ではなく「データの受け渡し」にあります。ここには3つの異なる視点が存在します。


・機器メーカー:操作性やスキャン速度など製品の仕様を追求

・歯科医院(臨床):患者さんへの負担軽減や院内での取り回しやすさを重視

・歯科技工所(製作):精度が高く、自社のCAD/CAMシステムで処理できるデータを要求


それぞれの求める視点が一致していない場合、「スキャンしたデータが技工所で読み込めない」「補綴物の精度が出ない」といった齟齬が生じてしまいます。機器の購入前に、連携する技工所との擦り合わせが不可欠です。



■ 臨床と技工を密接につなぐ先行事例


この「現場の分断」を解消するためのアプローチとして、臨床と技工の両方の機能を併せ持つグループの取り組みが注目されています。


例えば、大阪を中心に訪問歯科や介護事業を手掛ける「みそらグループ」では、自社内に歯科技工所と訪問クリニックを保有する強みを活かし、2026年10月よりIOSの取り扱いおよび歯科医院向けサポートを開始しました。


歯科技工士が窓口となり、臨床側が求める使い勝手と技工側が求めるデータ精度の双方を満たすよう機種選定やデモを支援する体制を整えています。さらに自社での購入を条件とせず、他社技工所への発注も自由とする柔軟な運用をとっています。機器の販売に留まらず、現場でのデータ運用までを一括して支える仕組みが、従来の問題を解決するモデルとして期待されています。



■ 365メディカルの視点:現場主導のデジタル連携を目指して


365メディカルにおいても、臨床と技工のスムーズな連携が歯科DXの成否を握ると考えています。技工所への投資や環境整備を通じて、医療現場と技工現場の双方に寄り添う体制づくりを行っています。


・技工現場の課題への理解:技工士の高齢化が進む中、デジタルデータの活用は作業効率を高め、熟練の技術を未来へ継承するためにも重要です。

・医療機関の困りごとに寄り添う支援:機器の比較検討だけでなく、データフォーマットの整合性、発注手順、診療報酬の算定手続きまでトータルで相談に応じます。


特定のメーカーや技工所に制限されない中立的な立場から、各医院の診療方針に合わせた最適な連携スタイルを提案することが重要だと考えています。



■ 口腔内スキャナー導入前に必ず確認したい6つのチェックリスト


IOSを導入して後悔しないために、以下のポイントを事前整理しておきましょう。


1. 症例数と導入コストのバランス(算定可能な症例数と費用対効果の試算)

2. 施設基準の確認と適切な届出手続き

3. 連携先技工所とのデータフォーマット適合確認(事前テストの実施)

4. 実機を用いたデモでの操作感確認とサポート体制の把握

5. 技工物の発注先に関する自由度や利用条件の確認

6. 患者データの安全な管理および送信セキュリティ体制の整備



■ まとめ:スムーズな「データの流れ」がデジタル化の成否を決める


口腔内スキャナーの導入は、型取りのストレスを減らし、診療の質を向上させる魅力的な手段です。診療報酬改定のタイミングは導入を考える良いきっかけとなりますが、本質は機器選びそのものではなく、その後のデータ共有がスムーズに行える環境を整えることです。


目的と手段を整理し、技工所との連携を含めた運用設計を事前に行うことが成功への一番の近道です。


365メディカルでは、診療報酬の改定対応や届出サポート、デジタル化に伴う業務効率化の相談を承っています。自院に最適な歯科DXの進め方について、ぜひお気軽にお問い合わせください。



【用語解説】

・口腔内スキャナー(IOS):口の中をカメラで撮影し3Dデータ化する装置。

・光学印象:デジタル機器を用いて歯の形状情報を取得する型取り手法。

・CAD/CAM:コンピュータ設計および機械加工により技工物を製作するシステム。

・補綴物:インレーやクラウンなど、欠損した歯の機能を補う人工物。

・施設基準:特定診療報酬を算定するために医療機関が満たすべき基準。

 
 
 

コメント


bottom of page